猟奇的なシンデレラ。
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翌日、オレは神崎の教室に顔を出した。
席からそれを見た神崎はあからさまに不機嫌な顔をする。
「よっ」
「「よっ」じゃねーよ。何の用だ。帰れ」
何用か聞きもせずに追い返そうとするのはいつもの神崎だ。
昨日の微笑みがウソのようだ。
「…あれ?」
「なに」
神崎の耳を見たが、花型のピアスがない。
「おまえ、新しいピアス買ったんじゃなかったのか?」
「は?」
「花の…」
一瞬、神崎の顔が強張ったのを見逃さない。
「そんなの、あたしが持ってるわけねーだろ。ボケてんのか」
だったら、昨日は何を捜していたんだ。
問い詰めたかったが、池川がオレであることがバレたら暴れ出すだろう。
オレにあんな顔を見せたんだからな。
思い出したら、また顔に熱が集まった。
ここは、互いの為に口に出さない方が得策だ。
「用ってそれだけか?」
「……ああ」
「だったら、早く帰れ。目障りだ」
しっしっとモブ共にやったように手を振った。
やっぱ可愛くない。
昨日見た女も、実は神崎に似た女だったのだろう。
そうだそうに違いない。
自分に言い聞かせて神崎を睨み、側近の城山がオレを追い出しに来る前に教室から出ようとする。
肩越しに見ると、神崎はオレが出て行くのを見届けるため、ヨーグルッチを飲みながら視線をこちらにやっていた。
「…そんなに素っ気ねーと男の方から逃げちまうぞ」
「それくらいで逃げるなんて男じゃねえな。むしろ願い下げ」
「女らしく、恋もできやしねえ」
冷たく言い捨て、ドアに手をかけた。
「…あたしだって、恋くらいしてるっつの」
ぼそりと呟かれたとんでもない一言に、オレははっと振り返った。
してる?
ing?
耳を疑った。
それを聞いていたのはオレだけではなく、教室中がざわめいた。
城山なんか硬直状態だ。
神崎は自分が何を言ったのかわからず、周りの反応に首を傾げた。
「神崎…、おまえ、恋…してるのか?」
「? ………!!!」
自分の何気ない発言を思い出し、みるみると神崎の顔が耳まで真っ赤に染まる。
ようやく失言だったと気付いたようだ。
「ち、違…っ、今のは違う! 恋くらい、いつかできたらっていう…、言い間違いで…っ」
説得力が全然ありません。
わかりやすく慌てふためく神崎が再び可愛く見えてしまう。
「うー」だの「あー」だの唸る神崎。
オレが口をぽかんと開けていると、神崎は、言葉を引き出した原因であるオレをこれでもかと強く睨み、机を蹴って高々と右脚を振り上げた。
「だああああっ!!!」
ゴッ!!
八つ当たりで久々に食らった踵落とし。
今日は、白でしたか。
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