猟奇的なシンデレラ。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
昔々あるところに、金に目もくれない、とんだじゃじゃ馬娘がおりました。
名前は、神崎一。
極道の娘であり、不良の巣窟―――石矢魔高校最凶の女です。
……オレが知る限りでは。
「姫川ああああああっ!!」
「!!」
廊下で顔を合わせるなり突っ込んできて、高々と上げられた美脚がオレの頭上に振り下ろされそうになり、オレは右腕でそれを防御した。
「そう何度も食らわねえよ…っ」
それでも、相変わらずこの女の脚力は男ひとり沈めることができるほど強力だ。
現に、防いだ右腕は痛み、押し負けそうになる。
凶器ともいえる、靴のヒールが頭に突き刺さることを考えただけでもゾッとした。
最初にその女の存在を知って、いつもの調子で「いくらでオレの女になる?」と聞いたのがすべての始まりだった。
この時は、使える奴は出来るだけ手に収めておこうとした金をちらつかせてきたオレだが、当時、どちらも1年だった頃、オレは神崎を甘く見て近づいた。
ヤンキー娘なら金や男でころっと落ちるだろうと軽んじていたが、落ちたのは奴の踵で、落下先はオレの頭上だった。
あんな重い一撃を女からもらったのは初めてだ。
手に入らないものほど欲しくなり、オレは何かにつけては神崎のもとへ赴くようになった。
それでも、石矢魔のてっぺんをとるために使えるものは金で集め、情報収集も怠らなかった。
3年に上がり、気が付けば石矢魔最強『東邦神姫』のひとりになっていて、神崎もまた、そのうちのひとりとなっていた。
読み通りだったというか、そうでなくては困るというか、神崎は女でありながらオレと同じく石矢魔のトップを目指し、誰の下につこうともしなかった。
「姫川このヤロウ今すぐ死ね!!」
「ご挨拶だな」
「凄んでんだよ!! 相変わらず頭の中はパンか!!」
「なんだよいきなり…」
振り下ろされた脚に力が込められるが、オレは平然とした顔を装い、それに耐える。
「オレの下の奴らから何人か引き抜いただろっ」
「あいつらからオレに声かけてきたんだよ。金に困ってるから雇ってやっただけだ。おまえも褒美くらいやったらどうだ。無償で使うなんて馬鹿げてるぜ」
「“使う”とか言うな! てめーとは違うんだよ!」
だから離れていくんだろうが。
女だし、どこか甘いところがある。
それに見限って離れていく奴らだっていた。
腹が立つからって全部オレのせいにしてんじゃねえよ。
「そっちこそ相変わらず、情熱的だな。…下着の色も」
脚を受け止めると、当然スカートを履いた神崎の真っ赤な下着がこちらから丸見えだ。
「っ!!」
バチィッ!!
オレの視線に気づくと同時に、意識が一瞬飛ぶような凄まじい勢いの平手を食らった。
これが3年間築き上げたオレ達の誰もが認める最悪な関係だ。
.