えりんぎ保育園へようこそ。
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ここはえりんぎ保育園。
園長の神崎武玄が経営している保育園だ。
ここの保育士はなぜか男ばかり。
しかも、8割がヤ〇ザのような強面ばかりなので、泣き出す園児があとを絶たない。
これは綺麗ものを入れた方がいいだろうと考えた園長は、最近は2人の保育士を雇った。
園長の息子であり短大卒業と同時に保育士としてこのえりんぎ保育園に勤めている神崎一の後輩・古市と、神崎の友人・夏目だ。
園舎の屋上には、その2人と、神崎と、神崎の友人であり同時期にこの保育園に勤めている城山猛が、タライで園児たちが使用していた布団のシーツを手洗いしている最中だった。
「コラ古市。もっと丁寧に洗えや」と睨みをきかせて染みの付着したシーツを古市に押し付ける神崎。
「厳しいっス、神崎先輩」と横暴な神崎に苦笑している古市。
「神崎君って変なところ神経質だよねー」と洗濯ロープにシーツを干していく。
「夏目、もうちょっと皺を伸ばせ」と干されたシーツを丁寧に伸ばして洗濯バサミで挟む城山。
4人とも、色違いのエプロンをかけ、雑談をかわしながら保育士としての仕事を務めていた。
「はじめーっ」
「古市ー」
そこにやってきた園児が2人。
古市が世話の担当をしている男鹿と、神崎の姪の二葉。
「男鹿、屋上に来ちゃダメだろ」
「うるせー、遊べコラ」
少々やんちゃで、えりんぎ保育園のガキ大将でもある男鹿は古市に懐いており、古市に会いに自ら事務室に行くほどだ。
今も古市のすねを蹴りながらせがんでいる。
「ちょ、痛っ、すねは痛いっ」
「はじめー」
「ここじゃ「神崎先生」だボケ」
「神崎君、身内でも「ボケ」はダメでしょ」
どっちもどっちな神崎に夏目がたしなめたところで、夏目は「あ」と思い出す。
「そういえば聞いてる?」
「なにが?」
神崎は二葉を肩車しながら聞き返す。
「明日、転園してくる園児がいるそうだよ。神崎君が担当することになってる」
「あ? 初耳だぞ」
「神崎さん…、寝坊してきましたから…」
朝の会議に遅れることはしょっちゅうだ。
園長が何度注意しても寝坊癖がなおったことはない。
「親父のヤロウ…」
「その子、かの有名な姫川財閥の御曹司で…、お金持ちばかりの幼稚園に通ってたんだけど、問題ばかり起こすし、挙句の果てには、本人が「つまんねぇ。ここはオレの居場所じゃねえ」とか言って転園を希望したって」
「こまっしゃくれにも程があるだろーが、そのガキ」
園児とは思えない言動だ。
「けど、どうしてそんな有名財閥の子が、ここに? わざわざ幼稚園から保育園に転園ってのも…」
古市は疑問を口にした。
男ばかりの小さな保育園なだけで、豪華な設備があるわけでも、豪華な食事が出るわけでもない。
夏目はにこにこしながら答える。
「その子の親がね、あまりの自由奔放さに呆れて、ここに放り込んで喝を入れてもらおうと考えたみたいで」
「ウチは寺かっ」
しかし、この保育園を卒園した園児は、保育士の影響か、怖いモノ知らずの気合の入った顔で卒園していった者がほとんどだ。
卒園したのに、「少し叱っただけでは応えなくなった」と親から苦情が来たこともある。
「だから、神崎君、ムカついたからって殴っちゃダメだよ?」
神崎の肩にぽんと手を置いて心配そうに言う夏目に、神崎は額に青筋を浮かばせる。
「オレが一度でも園児にマジ殴りしたことあったか!? 後ろのてめーらも不安げな顔してんじゃねえ!!」
「「……………」」
古市と城山は、あり得なくはない、と言いたげな表情を浮かべていた。
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