執事の優雅な休日。
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待ち合わせの公園で、蓮井を連れたオレは先に待っていた城山と夏目に事情を話した。
最初一緒にいるところを見られて驚いた顔をされたが、説明を聞くと、どちらも渋い顔一つせず、了解してくれた。
夏目にとっては「面白い」の部類に入るのだろう。
「いいよいいよ。歓迎するよ」と乗り気だ。
「突然の事で、申し訳ありません」
そう言って頭を下げる蓮井に、夏目は「礼儀正しいよねー」と笑う。
執事だから礼儀正しいのは当たり前なわけだが、オフな時でもこの調子なのだろうか。
「本日はどちらに?」
「そーだな…」
早速商店街のゲーセンに乗り出そうとしたが、蓮井の格好を見て寄り道を考える。
姫川と一緒にいる時と同じ、黒服だ。
ゲーセンとは不釣り合いでかなり目立つだろう。
何よりも暑苦しい。
「おまえ、もしかしてそれ、私服か?」
「え? …ああ、はい。ずっと執事を務めているので、いつの間にか…」
私服の必要もなくなったのか。
「暑苦しいカッコだな」
「そうでございますか? ご心配には及びません。こう見えて通気性も良い材質で出来ているので、真夏に着ても、それほど暑くはありません」
「いや、見てるこっちが暑苦しいっつってんだ」
そんな涼しげな笑顔で言われても。
「もしかして、同じ服ばかり持っているとか?」
「わかりますか?」
城山の問いに、微笑みで肯定する。
クローゼットに同じ黒服がずらりと並んでいるかと思うとちょっと笑えない。
つうか、引く。
そういうわけで、寄り道決定。
やってきたのは、メンズショップだ。
「コーディネートは任せてー♪」
オレ達の中でもオシャレ男子の夏目は、店内にある服を数着選んだあと、蓮井の背中を押して試着室へと連れ込んだ。
「んー、これはちょっと派手かなぁ。せっかくだから冒険しないとね。黒以外だったら、コレもいいかと…。あ、イケるイケる! で、この服と合わせてー」
試着室のドア越しに聞こえる夏目の声。
とても楽しそうだ。
あいつはメンズショップの店員もいけるな。
「城ちゃーん、そこのクロップドパンツ取ってー。ベージュのね」
半分だけ開いたドアから夏目の右腕が出た。頼まれた城山は「こ、これか? クロップ…?」と自信なさげに夏目に手渡す。
数分後、夏目と蓮井が試着室から出てきた。
上は白シャツの上にネイビーのカーディガン(七分袖)を着、下はベージュのクロップドパンツをはき、靴はグレーのカットシューズ、腕には2連のブレスレッド、首元にはシルバーのネックレスが光っていた。
髪はワックスで少し癖をつけたようだ。
「「誰っっ!!?」」
オレと城山は思わずつっこむ。
オレ達と同じ年頃にしか見えない。
こいつ一体いくつなんだ!?
「どう?」
「気持ちが若返ります」
「だからいくつなんだよ!!?」
金を持て余しているのか、上下とアクセサリー代を躊躇うことなく現金で支払いやがった。
そしてさらにムカつくことに、外に出た途端、夏目と蓮井は通行人女子の注目の的だ。
どっちも爽やかイケメン男子だからな。
顔立ちもいいし。
「神崎様、夏目様、私の格好、やはり少し派手なのでは? 視線を感じます」
「…気になるのか?」
「ええ。いつもは大体、竜也様が注目されるので」
大いに納得した。
リムジンから降りてくるアロハシャツのリーゼント男。
嫌でもそっちが注目の的になるだろう。だから自分自身への大衆の視線は慣れてないのか。
「やはりスーツに着替えた方がいいのでは…」
「やめろ。それはオレ達が居た堪れないし余計に目立つ」
手に提げている袋から自分のスーツを取り出したところでストップをかける。
「とりあえず、視線が気になるなら、店に入るか」
オレが指さしたのは、当初の目的だったゲーセンだ。
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