魔王様双六で遊びましょう。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
見事クリアし、ゴールの手前まで移動することができた男鹿と神崎。
目の前に現れた2人を姫川と古市は複雑な気持ちで見据える。
「ついに追いついてやったぜ、古市!!」
真っ青な顔の男鹿は口端から泡を出しながらも不敵な笑みを浮かべ、左手で腹を抱えて右手で古市達を指さした。
「ムリに決めなくていいよっ!!」
「後ろ!! 神崎死んでねえか!!?」
男鹿の後ろでぐったりと倒れている神崎は、腹を抱えたままぴくりとも動かない。
「ここを出たら真っ先に病院に連れていかねーとな」と男鹿。
「散々だなっ!!」と古市。
次は古市&姫川のターンだ。
次は邦枝がサイコロを振った。
出た目は6。
「よくやった邦枝!」
「ようやく上がれる…」
そのままステージに強制移動される。
そこは、薄暗い谷底で、生温い風が吹き抜けた。
“突っ込め!魔王様を狙うボケ!”
制限時間は1時間だ。
「ボケ?」
「ちょうどいい。こっちにはツッコミがいるからな」
任せた、というように姫川は古市の肩を叩いた。
「こんな場所にですか? 嫌な予感しかしないんスけど」
この胸騒ぎは魔界に行った時のアレと似ていた。
ただで帰れる気がせず、ヒルダの、ゴールに近づくごとに難題になっていく、と言った言葉が脳裏をよぎる。
「あ」
姫川は前からこちらに近づく物体に気付いた。
ずるずる…、となにかが這いずる音だ。
近づくたびに姫川と古市の顔がだんだん蒼白になり、10mはある、7つの頭を持つ深緑色のヘビを見上げた。
それらは真っ赤な大口を開けて一斉に姫川と古市に襲いかかる。
「「突っ込めるかアアアアアア!!!」」
ボケ:7つの頭を持つ大きなヘビ(竜)
2人は叫びながら食われる直前に反対方向へ肩を並べて走り出した。
頭脳が専門の智将組に魔界の魔物相手はまさに無理難題だ。
「姫川先輩ぃい!! 電撃でなんとかならないんスか!?」
「なるか!! その前に丸呑みだっつーの!! おまえが囮になるってんならまだ可能性はあるがな!!」
「どっちにしても犠牲がつきもの!!」
電撃が打ちこめたとしても、スタンバトンの電撃では電気マッサージ程度にしか感じられないだろう。
肩越しにボケを見れば、大きな胴体をくねならせながらこちらに近づいてきている。
「チッ、ここまで来て6マス分戻るのは痛いが仕方ねえ!」
舌を打った姫川はゲームを観戦しているヒルダに向かって呼びかける。
「おい男鹿ヨメ!! このお題はリタイアだ!! 戻るにはどうすればいい!?」
「制限時間が経過するまでリタイアはムリだ」
「はぁ!? こんなバケモンから1時間も逃げ切れるか!!」
時間が経過する前に朝ごはんになってしまうのがおちだろう。
「助けてください――――っ!!!」
古市は半泣きになって叫ぶが、虚しく谷底に響き渡るだけだ。
「古市!!」
画面を見上げていた男鹿は焦燥感を覚え、どうしたものかと考える。
いくら賢い2人でもあのバケモノ相手に腕っぷしで勝てるわけがない。
「男鹿ぁ…」
死にかけだが立ち上がった神崎は男鹿の肩を叩いた。
「神崎」
「なんとかして、あいつらのお題に飛べねえか…?」
「できないことはないぞ」
ヒルダが答え、男鹿は「できんの!?」と声を上げる。
「ボケのお題は確か、ちょうどゴールまでの数字が出た時に出る。かなりの確率でな。他の下僕のお題に干渉できるかはわからんが」
それを超える数字が出た場合は、ケルベロスのお題が出るようになっているらしい。
「じゃあ、オレ達の場合、サイコロで「1」の目が出れば行けるかもしれないってことか」
神崎が目の前のゴールを見ながらそう言うと、男鹿は「ヒルダ、振ってくれ」と頼んだ。
「別にかまわんが、私が振ったからといって「1」が出るとは限らんぞ」
邦枝からサイコロを受け取ったヒルダは、試しにサイコロを振ってみる。
出た目は、1だ。
「「っしゃあ!!」」
ガッツポーズした2人は早速お題へ飛ぶ。
ヒルダは「解せぬ…」とサイコロを睨んでいた。
ドガァッ!!!
出現した場所がよかったのか、男鹿と神崎は同時にボケの胴体を勢いのついた蹴りを食らわせた。
その衝撃に、ボケは真上を見上げて7つ分の悲鳴を上げる。
「男鹿!?」
「神崎!!」
突然の助っ人に姫川と古市は立ち止まって振り返り、男鹿と神崎は胴体からボケの目の前に着地した。
「おぇ…っ、クる…っ」
未だにコロッケのダメージが残っている神崎は、真っ青な顔で右手を口に当てて吐き気に耐える。
「吐くなよ!?」
「男鹿!! 前前!!」
古市の声が聞こえて前を見ると、7つの頭が大口を開けてこちらに迫っていた。
男鹿は気分を悪くしている神崎の胸倉をつかんで姫川と古市に放り投げ、自分は高くジャンプして襲いかかるボケの頭を飛び越え、コブシを構えた。
手の甲のゼブルスペルが光り、ここでもベル坊の力が使えることがわかると、口元に不敵な笑みを浮かべ、7つの頭上に向けて必殺技を繰り出す。
“ゼブルエンブレム”
ドォン!!!
7つの頭が爆発して谷底に倒れると同時に、男鹿は地面に着地する前に上空に二重丸の文字を見た。
.