とんだ奴らが入れ替わりました。
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午前2時の南珍比良高校。
神崎、姫川、神谷、ヘアバンの4人は2年校舎の2階男子トイレに来ていた。
半信半疑だった神崎も、合わせ鏡から出てきた悪魔を見て姫川とともに驚く。
「マジで鏡から出てきやがった」
鏡の悪魔は洗面台に腰掛け、「あらら、また願い事しに来たのか?」と明らかに虫歯が悪化している頬を撫でた。
「元に戻してほしい」
神谷が頼むと、鏡の悪魔は「へ?」と間の抜けた顔をする。
「だって願い事して叶ったじゃん。オレ的に得意としてんのは、人間の魂の交換なんだけど…」
「付き合ってる男になったって…、しょーがねーだろ…。オレ自身で頑張らねえと…」
そう言って背後にいる神崎と姫川を見た。
この2人の間に入ることは容易ではない。
今回の事件でそれを痛感した。
「あ、そう…。だったら、また1万払ってくれる?」
「え゛。また金取るのか!?」
ヘアバンが声を上げると、鏡の悪魔は差し出した手をひらひらとさせる。
「ウチはクーリングオフやってないから。オレ的には、早くこの虫歯治したいガモッ!?」
突然、ずっと見守っていた神崎がその口に手を突っ込んだ。
「虫歯ならオレが治してやらぁ。この歯ですかぁ?」
「う゛ぅ~~~~っ(いだだだだだだ)!!!」
「はい超激痛ですよ抜きますよぉ」
「う゛ぅ~~~~っ(わかったわかったタダでやるよ)!!!」
神崎の顔は、非常に楽しそうだ。
説明しよう!!
神崎は時に、今までの鬱憤を一気に晴らすように、姫川を超えるドSに変貌することがある!!
「「「……………」」」
呻き声を上げる悪魔に、思わず、そっ…、と自分の頬に手を添える3人。
涙目になりながら金属バットを取り出した鏡の悪魔。
「オレ的に…、こんな悪魔みたいな人間に会ったのは初めてだ…」
「え、オレもあれに殴られねえとダメなのか?」
姫川は素振りされる金属バットを指さして神谷に尋ねる。
「わりと死なないモンなんで我慢してください。オレも2回目なんでちょっと落ち着いてます」
「落ち着くなよっ」
それでも逃げないように、神崎が後ろから羽交い絞めする。
「すぐに確認したいから軽めで頼む」
ヘアバンが頼むと、鏡の悪魔は「え―――、加減って難しいんだよなー」と呟きながらも、また金属バットの先を杖のように振り回しながら呪文を唱える。
「ガーロダボンナテシオトハジイ」
「あれ? 呪文変わってる?」とヘアバン。
「あー、これ適当に言ってるだけだから。雰囲気雰囲気」と鏡の悪魔。
「おい! ちゃんと戻るんだろうなっ!!」と神崎。
振り下ろされる金属バット。
ゴゴンッ!
撲られる、姫川と神谷の頭。
一度膝から崩れ落ちる2人に相方2人が心配になると同時に、眩暈を覚えた。
「「「「あ!!?」」」」
鏡に映ったのは、まったく違う自分の顔。
神崎が神谷に、姫川がヘアバンに、神谷が姫川に、ヘアバンが神崎になっていた。
「ずるいぞヘアバン!! でもちょっとだけ…っ」
中身がヘアバンなのをいいことに、神谷は、神崎の体になったヘアバンに頬ずりする。
「神崎さんハァハァ」
「やめろっ!!」
神崎は神谷の服を引っ張って止める。
「複雑っス…」
ヘアバンは喜んでいいのか落胆していいのかわからずにいた。
「言っとくけど、その状態だと立場的にリバになるからな」
姫川がそう言うと、ヘアバンは「あ、そうだ」と気付く。
見たままカオスな光景に、鏡の悪魔は「あれぇ?」と首を傾げた。
「打ち所が悪かったかな?」
「よし、てめーらそいつ逃げねえように押さえつけてろ。オレはこれからペンチかドライバーを取ってくるから」
早まろうとする神崎に鏡の悪魔は「虫歯のエグい取り方しようとしてるよね!?」とつっこむ。
「待った!! あとワンチャンスくれ!! 今度は成功してみせるからっ!!」
鏡の悪魔は誓った。
2度とこの鏡で商売をするのはやめよう、と。
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