12年前、とある大激闘がありました。
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別の休日の昼下がり。
「おまえあの時乗れてたじゃねえかっ!! なんでまた乗れなくなってんだよっ!!」
「知らねえよ! あの時は無我夢中だったっていうか…」
神崎と姫川は例の空き地で自転車に乗る練習をしていた。
自転車は神崎のものだ。
猛スピードで乗りこなしていたうえに、両手を放しながら漕ぐという上級までやってのけたというのに。
腕はどこへ行ってしまったのか。
今の姫川は数センチも進むことができなかった。
後ろから神崎に持ってもらって進んでみるものの、手を放したら横に倒れてしまう。
「だからぁっ、ペダル漕がなきゃ進まねーだろが」
「ハンドル握るので精いっぱい」
「絶望的っ!」
ちなみに、その空き地で行われる予定だった工事は、姫川が裏から手を回したことで取りやめになり、それだけでなく、その土地を買い取るという財力を発揮させた。
当然、思い出のクヌギの木も無事だ。
2人はクヌギの木の下で休憩する。神崎が手渡したのは、あのプレミアムヨーグルッチだ。
一件落着したあと、自転車を飛ばし、見事手に入れることができた。
2人はパックにストローをさして飲み始める。
「甘い…っ」
「ああ? てめーあの時夢中で飲んでたじゃねーか」
「人間の味覚って変わるもんだな。けど、全部飲む」
10年に一度出るか出ないかの限定品。
次に飲めるのはさらに10年後だ。
「また10年後も、こうして飲めるといいな…」
カラになったパックを膨らましてしみじみ言う姫川に、神崎はクヌギの木を見上げ、ストローを咥えたまま口を開いた。
「オレ達のことだ…。飲んでるだろ…。20年、30年先も…」
はっとその横顔を見つめる姫川。
「……やっぱりそれってプロポー…」
「ホンット、都合のいい耳してんな」
それでも自分で言って神崎はわかりやすいほど照れていた。
「照れてる」
「うっせーな! 大体、プロポーズってのはオレから言っていいもんなのかよっ」
「…!! いや、確かに違うな」
急に真顔になった姫川は、神崎の片手を両手でとる。
「神崎…、オレと…」
やはり気が早い、と呆れた神崎はその口を手で押さえた。
「このプロポーズ言いたかったら、まずは自転車に乗れてから言え」
「ぐ…」
唸る姫川は渋々立ち上がり、自転車の練習を再開する。
神崎は小さく笑って立ち上がり、それに付き合う。
「いっそ車輪でもつけるか?」
「死んでもゴメンだっ! そんな奴と付き合いたくねーだろ!」
「ああ。ソッコー別れる」
「神崎…」
「ほらよ、持っててやるから乗ってみな」
もしかしたら、と神崎は考える。
たとえ今回の魔石が関わっていてもなくても、自分達はどこかで出会っていたのかもしれない、と。
過去へ飛んで、過去の姫川と神崎に関わってしまっても、こうして変わらずに自分達はバカをやっている。
「神崎、放すな? まだ放すなよ?」
「…放さねえよ」
そう呟く神崎の口元は笑っていた。
「おりゃっ」
「うわっ、バカッ、いきなり…!」
後ろに立ち乗ってムリに2人乗りをしようとした結果は、2人の絆のように未だに成長を続ける、クヌギの木だけが知っている。
―――どう転んでも、未来は変わらず、そこにある
.END
5万企画の長編小説でした!
ワードで打ち込んで85頁って…
最後まで読んでくださった方はお疲れ様です^^
そしてありがとうございます!!
今回この長編が更新できたのも、遊びにきてくださる皆様がいたからこそ!
単行本19巻のちっちゃい姫ちゃんと現在の神崎君を絡ませたいと思ったのがきっかけでした!
こんなに長くなるとは…!!^^;
もっと文章力を身につけてから、次回も長編企画やりたいですっ
その時は姫神はもちろん、他の石矢魔メンバーも登場させたいです(≧▽≦)
夏目、城ちゃん、今回未登場でごめんなさいっ;
あと蓮井さんを過去に出すかどうかすごく迷いました!
なにしろ12年前ですから!
蓮井さんの年齢教えてくださいっ、先生!;
最後のベヘモットの方々は、アンケートで名があがったので出したくなりました!←
ベヘモット柱師団ではヘカさんがお気に入りです^^