12年前、とある大激闘がありました。
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男鹿達は例の工事現場へと来ていた。
姫川の権限で工事を取りやめてもらい、切り倒される寸前だったクヌギの下へと集まる。
作業員からシャベルを貸してもらい、男鹿、神崎、姫川はクヌギの下を掘りだした。
出てきたのは、クッキーの缶だ。
入ってるのはもちろんクッキーではない。
カラのヨーグルッチのパックや子どものオモチャ、そして、もう半分の魔石だった。
「タイムカプセル埋めてたのか」
「うるせえ…。ガキなら誰だってやりたがるだろ」
思い出した神崎は恥ずかしさのあまり、先程から姫川の顔を見ない。
姫川とのキスを挨拶と言い訳したばかりに、12年前、子姫にファーストキスを奪われてしまったのだから。
まさに自業自得。
過去の自分に謝りたくなった。
(アレ、姫川だったのか…)
姫川もほぼ6才の記憶を思い出していた。
「オレ達…、会ってたんだな…。しかもオレのファーストキス奪った張本人が神崎…。これはもう運命としか…」
「奪ったんだろ!! てめーがっ!!」
ある意味奪わせたのも神崎自身だ。
タイムカプセルとともに埋まっていた魔石は、クヌギの木を成長させるほどの魔力を与えていたようだ。
12年前の小さかったクヌギの木は、今では石矢魔町一大きな木に成長していた。
ヒルダが魔石をもう半分の魔石とくっつけると、魔石はひとつに戻った。
「取り戻したようだな…」
「!! おまえら…っ」
そこへ現れたのは、3人組。
男鹿達と因縁のある者たちだ。
「ベヘモット…!」とヒルダ。
「あ? 悪魔野学園の奴らじゃねーか」と神崎。
「そうあからさまに敵意を向けるないでほしい。私達は大魔王様と団長の命令で、魔石とアヴァン・ヘイズの引き渡しを願いにきた。本当は、身柄の拘束も命令されていたのだが…、先を越されてしまったようだ」
そう言うのは、顔に包帯を巻いて体を鎖で縛っている、ベヘモット柱師団「第14の柱」―――オドネルだ。
(((((いや…、身柄拘束されてるのおまえじゃん…)))))
その見た目に、その場にいた全員が内心でつっこむ。
「やはり魔石の呪いを受けたか…。秘宝の力を見誤るからそうなるのだ。その姿になったからといって、甘い処罰を受けると思わない方がいいぞ。アヴァン・ヘイズ」
続いて、黒い長髪が特徴の、ベヘモット34柱師団の「第8の柱」―――ヘカドスがそう言った。
「ねーねー、邦枝葵は一緒じゃないのー!?」
きょろきょろと邦枝の姿を捜すのは、コートの下にビキニを着た、ベヘモット34柱師団の「第1の柱」―――アギエルだ。
「柱将が3人も出る幕ではなかったな…。他の柱将にもあとで報告しなければ」とオドネル。
「どういう組み合わせなんだよ…」
男鹿がそう言うと、ヘカドスは「仕方ない」と嘆息をつく。
「アギエルが「好きな子と組んでいいよねーっ」とムリヤリ引っ張りこむからだ。…エリムに取られたグラフェルよりはマシだが…」
大した接点もないのに、魔法使いの格好をした幼女でありながら「第5の柱」―――エリムと組むことになった、かわいそうな、同じナーガ班である「第7の柱」―――グラフェルを思い出した。
相当嫌がっていたそうだ。
「ああ。目に浮かぶぜ…」
エリムと会ったことのある男鹿はグラフェルに同情する。
「邦枝葵は―――!?」
男鹿が「いない」と言うと、アギエルは「え―――、つまんな―――い」と頬を膨らませた。
「…大魔王様の命令とあらば仕方あるまい。クロノスの魔石とアヴァン・ヘイズを受け渡す」
「持ってけ」
ヒルダは小さな箱に入れたクロノスの魔石を、男鹿はアヴァンをヘカドス達に投げ渡した。
「おっと」
アギエルは物騒にも剣先をアヴァンの服にひっかけて受け止め、ヘカドスは片手で魔石をキャッチする。
「雑に扱うな」
ヘカドスは男鹿達を睨んで注意する。
「そちらに引き渡したのだ。もし、そいつを逃がしたり、魔石をなくすようなマネをすれば…、ただでは済まさんぞ」
「我々が、責任を持って大魔王様の元へお届けしよう」
遮るようにオドネルがそう言うと、ヒルダはもうなにも言わなかった。
「えー。もう帰るの? だったら、このコで遊んじゃおっかなー」
ヒマつぶしというように、剣先にぶらさげたアヴァンを揺らす。
「やめてください…。早く連れてってください…」
たとえまた脱獄しようが、もう2度と人間界に来るものかと固く誓ったアヴァンだった。
「とりあえず…、まあ、一件落着ですか?」と古市。
「お礼期待していいのか?」と男鹿。
「いじきたないぞ」とヒルダ。
「ダブ」とベル坊。
「ところで神崎、いいのか? プレミアムヨーグルッチ」と姫川。
「あ゛!! 忘れてた!!」と神崎。
そして、いつもの日常へと戻る。
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