12年前、とある大激闘がありました。
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「かんざき、あいつは?」
自転車のカゴに乗せられた子姫は姫川のことを気にかける。
「あとで来るってよ。自分で指定して遅刻したら卍固めだ」
「……………」
後ろに姫川がいない分、先程よりペダルも軽い。
「!!」
もう少しで大通りに出られるかと思いきや、遅かった。
自分達を追っている車が、ムリヤリ路地に入って来たのだ。
ちょうど車体くらいの広さだが、サイドミラーは吹っ飛び、車体を傷つけ、こちらに突進してくる。
「マジかよ…っ!!」
神崎は慌ててUターンし、立ち漕ぎで逃げる。
(ここを曲がれば…!)
途中で曲がり角が見えてきた。
ギリギリまで引っ張って曲がれば、背後の車は曲がりきれないはずだ。
車のフロントが自転車を押されたが、神崎はバランスを保つ。
「おらぁっ!!」
目当ての角を曲がった。
「なにっ!!?」
しかし、すぐに自転車を止めた。
道の先にはブロック塀があったからだ。
“小便するな”と貼り紙が貼られてある。
(しまった…! この時代、まだ開通してなかったんだ…!!)
現代なら、ここは普通の道になっていたはずだ。
背後から車のドアが閉まる音が聞こえ、はっと振り返ると、5人の男達が降りてきた。
デパートで尾行していた連中だ。
「チッ…。ストーカー共が…」
高校生ならまだしも、大の大人が5人だ。
その手には、角材やら木刀が握られている。
勝算があるわけではないが、捕まるわけにはいかない。
相手の狙いが子姫である以上。
子姫は心配そうに神崎を見上げている。
神崎は「てめーがそんな顔すんな」と言ってその頭を撫でた。
「捕まえる…」
「よこせ…」
「そいつをよこせ…」
男達はゆらゆらとゾンビのような動きをしている。
かと思えば、一斉に飛びかかって来た。
「よこせええええっ!!」
「よこすかああああっ!!」
ほぼヤケクソで迎え撃とうとした時だ。
ビシャアアアッ!!
「「「「「ぎゃあああああっ!!」」」」」
「!?」
突然の電撃が男達を襲った。
黒焦げで地面にばたばたと倒れる男達を見下ろし、神崎は狐につままれた顔をする。
「な…んだ…? まさかオレにこんな力が…!」
「アホか」
「!!」
振り返ると、ブロック塀の上に人影があった。
「助けてやったんだろーが」
「フン。放っておけと言ったのに…」
「ダブ」
そこにいるのは、この時代にいるはずない2人組だ。
肩に赤ん坊―――ベル坊を背負った男―――男鹿と、日傘をさしたゴスロリ衣装の女―――ヒルダだ。
「お…、男鹿…!? ヨメまで!?」
「んしょ…っ、古市もいまーす」
ブロック塀をよじ登り、顔を出して手を振ったのは古市だ。
「てめーら…、なんでここに…。もしかして元の時代に戻ってきたのか?」
「……それ、逆にオレ達が聞きたいんだけど?」
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