12年前、とある大激闘がありました。
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廃車置き場に放置されたトラックのコンテナには、柄のスーツを着た15人の男達がいた。
素の強面がさらに険しくなっている。
特に、コンテナの一番奥にいる、首に赤いスカーフを巻いた男が露骨に機嫌が悪そうだ。
「あの金髪と銀髪…、まだあのガキ手放さねえのか…?」
「…へぃ」
監視している車から連絡が入り、それをそのままボスらしき赤スカーフの男に伝える。
「同業者か?」
「それはさっぱり…。けど、あの御曹司が自分からあの2人についていったようで…」
「フン。不運なのはあの2人か…。オレら誘拐屋から横取りしたわけじゃなかったようだな…」
誘拐屋。
その名の通り、金さえもらえるならどんな汚い手を使ってでも財閥の家族を誘拐する、血も涙もない連中だ。
「ボス、どうします?」
「先に事故起こされちまったもんな…」
当初の予定では、電柱近くに置いたポリバケツを爆破させて車が停車した隙に子姫を誘拐する計画だった。
しかし、その手前で突然神崎達が出てきて事故を起こし、子姫がそれについていってしまい、計画が失敗してしまったのだ。
ボスは舌を打ち、コンテナの壁にコブシをぶつけた。
部下達は全員ビクリと体を震わせる。
「初めてだ、こんな失態は。てめーらのせいだぞ。相手方にどう言い訳するつもりだ? あ゛?」
(オレらのせいかよ…っ)
(赤スカーフダサすぎ)
(なんでこいつがボスなんだか…)
(体臭きつすぎ)
計画したのはボスで、今日を決行日にすることを決めたのもボスだ。
そう思っても誰も口にしない。
視線を合わせないように目を逸らしていた。
ボスはまた舌を打ち、葉巻を取り出して口に咥える。
ライターを取り出そうとポケットに手を伸ばしたとき、目の前で火が点けられた。
「そうカリカリするなよ、オッサン」
「!!」
「「「「「!!?」」」」」
現れたのは、アヴァンだ。
その手元には火の点いたライターを持っている。
「誰だてめぇ…!」
「いつからそこに…!」
「姫川の回しモンか!?」
「う・る・さ・い」
アヴァンは口元に笑みを貼り付けたまま、振り返り際に右手をかざし、掌の“目”を部下達に見せつけた。
すると、部下達は次々と脱力し、全員その場に跪く。
「な…っ」
ぽろ…、とボスの口元からタバコが落ちる。
「アンタがボス? そのファッション嫌いじゃねえ。気が合いそうだ」
「……何モンだ?」
「アンタらと同じ悪モンだ。オレのことを味方と見てくれるなら、あいつらのように人形にはしないし、今後の安全を保障してやる」
「……………」
イマイチ信用ならないといった顔だ。
「利害の一致で協力してやるっつってんだ。話は聞かせてもらった。オレはその金髪と銀髪に用がある。それと一緒にくっついてるガキなんざ、くれてやるさ。今日中に」
「……ククッ」
自分と同じかそれ以上の悪党の匂いを嗅ぎ取ったのだろう。
不可解な男だが、後ろで簡単に人形にされた部下達よりは利用価値がある。
そう考えたボスは不敵な笑みを浮かべ、新しいタバコを取り出して咥えた。
アヴァンはそれに火を点ける。
「今日一日、ヨ・ロ・シ・ク」
ちょうどアヴァンも、簡単に利用できる人手と悪党が欲しかったところだ。
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