12年前、とある大激闘がありました。
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脱獄囚のアヴァンは人間界へ逃げ込み、囚人服のまま、手枷の千切れた鎖を揺らしながら追跡者から逃走していた。
住宅街の塀の上を走り、目的地へと向かう。
「チッ! 人間界にまで伏兵用意してるとか、アホの大魔王もバカにしたもんじゃねーな!!」
背後を確認しながら屋根へと飛び移り、人間の好奇な目も気にせずに駆ける。
鮮やかな藍色の短髪が人間界の眩しい陽の下で輝いた。
(だ・が! ポイントまであともう少しだ! そこへ辿り着きさえすればアッチだって簡単に追ってこれまい!!)
目的地まであと数メートルだ。
アヴァンは懐の“クロノスの魔石”を取り出し、準備に取り掛かる。
(時空を越える魔石…)
光に当てれば、エメラルドよりも美しい深緑に輝いている。
(ニセモノでないことを祈る…!!)
ポイントはもう目と鼻の先だ。
「ま・ず・は、その力の確認をさせてもらおうか…!!」
魔石をポイントへ放り投げる。
住宅に挟まれた道路の中心だ。
すると、魔石は地面に落ちる前に宙で止まり、その中心に真っ黒な空間を作り出した。
それを屋根の上から見下ろすアヴァンは不気味に笑う。
「ビ・ン・ゴ!! 本物の魔石だ!! 手始めに逃走経路に使わせてもらう! じゃあな、現代の人間共!!」
あそこへ逃げ込んでしまえば追手の心配はほぼ皆無だ。
高笑いとともに屋根から飛び下り、恐れることなくその穴に飛び込もうとした。
「「どけええええええっっ!!!」」
そこで、上空から現れたのは、自転車で飛んできた神崎と姫川だ。
「あん?」
ドギャッ!!
アヴァンは振り返ると同時に、顔面に衝撃を覚えた。
神崎、姫川、アヴァンはそのまま空間の中へと吸い込まれてしまう。
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