ぷちヴァンパイア、拾いました。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ただいま」
「………は!!?」
数分後、姫川は平然と戻って来た。
オレが窓を閉めようとしたら、窓枠をつかんで止めたのだ。
またズカズカと土足で上がり込んでくる。
出て行った時と違うのは、左手にはコウモリ柄のキャリーバッグ、右手にはカボチャ型のランタンを持っていた。
「? また戻ってくるっつっただろ?」
「いや…、なにしに帰ったんだよ…」
「もちろん荷物取りに」
「ここに住んだら、またチビに戻っちまうぞ」
「それなら心配ご無用だ。ジャックから借りたこのランタンは、火が点いてる間は魔力を放出させる代物。1年はもつ。人間でいうなら芳香剤みたいなものか? この部屋に置いとけば、オレはこの部屋だけ本来の姿に戻ることができる。持ち歩きなら持続可能だ」
「……………」
オレはもうなにも言えなかった。
これ、喜んでいいのか。
「オレはおまえの血も人間界も気に入った。またしばらく厄介になるからな」
「な…っ」
「口応えはなしだ。それではさっそく、いただきます!」
「ぎゃあああっ!?」
ギラリと目を光らせ、オレに襲いかかってきた。
オレは咄嗟に近くにあった飲みかけの水の入ったペットボトルをつかみ、あいつの傍にあったランタンに水をひっかけた。
するとランタンの中のロウソクの火が消え、姫川の体は、ぽんっ、と小さくなる。
「あーっ! なにすんだこのバカーっ」
「うっせ! さっきデケーてめーに血ぃ吸われたとこなんだぞ! 殺す気かっ!!」
「じゃあこのサイズならいいんだな?」
「痛てててててっ!!」
こうしてオレは貧血で今度こそ倒れた。
姫川は吸血鬼で、わがままな坊っちゃんだ。
言ったことはすぐに実行してしまう。
甘かった。
チビならまだ許せるが、あのデカい姿は厄介だ。
オレの気持ち的に色々と。
「神崎ー、またヨロシクな」
姫川は美味そうにオレの血を舐めながらそう言った。
この頭の痛みの原因は、きっと貧血だけじゃないはず。
「今度はオレの家に来るといい。歓迎するぜ?」
「不吉なこと言うな…」
.END