ぷちヴァンパイア、拾いました。
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血を欲する姫川のために、オレは鉄分を欠かさなかった。
つうか食べないとオレが貧血で倒れてしまう。
バイト中、危うく倒れかけてバイト仲間の夏目と城山に心配されたものだ。
オレが家を空けている間、姫川は家で留守番だ。
一体家でなにをしているのか聞いたところ、テレビで人間界について勉強しているそうだ。
「世の中には、あんなネコ型ロボットがいるんだぜ」
「……………」
たまに間違えた覚え方をする。
冬。
クリスマスが近づいてきた頃、アパートに遊びに来た夏目と城山に姫川のことを暴露した。
信用した上でだ。
最初は驚いたそいつらも、姫川と話しているとすぐに馴れ合ってくれた。
夏目が気に入って持って帰ろうとしたのをオレが阻止した。
冬でも吸血鬼は寒さを感じないらしいが、姫川は平然とオレの布団の中に潜りこんでくる。
最初は夜型だったこいつも、オレに合わせて朝昼起きるようになった。
ひとりで起きててもつまらないんだと。
どこか甘えたなこいつを、不覚にもカワイイと思ってしまった。
たまに寝惚けてオレの首甘噛みしてくるし。
春。
半月ほど姫川が行方不明になった。
約束の日までまだ半年以上あるというのに。
そろそろこの生活にも退屈を感じて出て行ってしまったのかと思ったが、オレはしばらくの間外に出てはそいつの姿を捜した。
掃除しようとしたとき、姫川は冷蔵庫の後ろから発見された。
落ちて挟まってしまい、抜けなくなったらしい。
半月以上血を摂取しなかった姫川は非常に飢えていた。
風呂に入る前にオレが貧血になるまでオレの血を吸い、「あのまま放置されていたら」と口にして貧血気味のオレと同様に顔を青くする。
さすがは吸血鬼。
生命力もゴキブリの比ではない。
夏。
姫川が食欲不振になった。
簡単に言えば夏バテだ。
暑さで死ぬことはないだろうが、オレは自分で手の甲をカッターでちょっと切って(手首切ったら誤解されるから)ほんの少しでも血を摂取してやった。
噛みつかず小さい舌でぺろぺろと舐めるそいつの姿に癒される。
夏バテ気味の姫川が終わると、オレ達は久々に大げんかした。
夕食を餃子にしてしまったからだ。
急に食べたくなったんだからしょうがねえだろ。
外へ出て行ってしまったので、部屋を換気したあとオレは外へ出て姫川を捜す。
あのヤロウはすぐ近くの公園でナンパしていた。
「オレのために血を分けてくれよ」と女子高生の膝の上でゴロゴロと寝転がる姫川に腹を立て、オレは虫取り網で捕獲した。
1ページにまとめたそんな1年もあっという間に過ぎ去り、ついにハロウィンがやってきた。
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