恋人の取説。
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神崎と付き合い始めて2ヶ月といったところか。
告白はオレからだった。
ダメもとだったが、神崎は照れながらも頷いてくれたのが今年一番嬉しい思い出だ。
ですが、2ヶ月…エッチどころかキスに到達していないのが現状だ。
「キスしたい」と言えば、「また今度」と跳ねのけられてしまう。
だからといってムリヤリすれば口きいてくれなくなるだろうし。
あと、元々体を触られるのが嫌なのか、恥ずかしがりなのか、オレが手を繋ごうとすれば手を払って嫌がるときたものだ。
「ここ、外だぞ、考えろバカ」と言うが、じゃあどこで手を繋げというのだ。
家に誘っても警戒してこないじゃないか。
この間耐えきれなくなって、ぎゅーってしたり、すりすりしたら、
「うぜぇ!! ベタベタすんな!! ここをどこだと思ってんだ!! 学校だ!! 次やったら埋めんぞ!! リーゼント栽培すっぞ!!」
ブチ切られ、とことん罵倒された。
デートも夕方まで。
「門限あるんだ」
「おいおい、高校生にもなっても門限って…」
「あと、預ってる猫がいて…。そいつの世話もしないと…」
「猫? どんな?」
「み、三毛猫だ」
「へぇ。オス?」
「ああ」
三毛猫のオスなんてほぼ絶滅危惧種だぞ!!
ウソが下手なくせにムリなウソつくし。
オレ達って本当に付き合ってるのだろうか。
*****
「それでそんな凹んでるのか…」
神崎がヨーグルッチを買いに行ってる間、オレは城山と夏目に愚痴をこぼしていた。
城山の席を占領し、不貞腐れていたオレは机に顔を伏せていた。
「もしかしてオレって遊ばれてる…?」
不安のままに、そんな情けないことを言ってしまう。
「あはは。今までずっと女の子を弄んだむくいじゃないかな?」
「ああ?」
オレはギロリと隣の席の夏目を睨む。
確かに女遊びをしていたのは事実だし、否定はしない。
しかしそれを夏目に言われると腹立たしい。
「……………夏目よぉ…」
「ん?」
「その…、神崎を…どうしたら…懐かせることができる…?」
「え?」
「だってよぉ、あいつ、おまえに頭撫でられても文句も言わずに平然としてんだぞ。しかもいきなり背後から抱きついてもギャーギャー騒がねぇし…」
思い出すと殺意が湧いてきた。
クソ、オレだって文句も言われずに撫でたい。
あの短くもふわふわの髪を、撫でたいっ。
「オレのはただ単にじゃれてるだけで…」
「オレだってじゃれたいだけなんだ!」
バンッ、と机を叩く。
あんな痴漢された女みたいに騒がれずにすむ方法、オレよりずっと傍で神崎を見ていた夏目と城山ならなにか知っているのではないか。
「いくらだ?」
オレが懐から100万の札束を出そうとすれば、夏目は慌てて席から立ってそれをその手首を押さえつける。
「ちょ、ちょ、姫ちゃん。お金はいいから。しまってしまって;」
「姫川と一度別れて友達に戻れば、神崎さんも気を緩めて触らせてくれるんじゃないか?」
「絶対ヤダ!! なんてこと言うんだ城山!! 大体、オレら元は友達同士じゃねえんだぞ!!」
付き合う前だって触ったことなかったんだからな。
「あ、そうだ」
そこで夏目がなにか閃いたのか、手をパンッと鳴らした。
「オレが明日いいもの持ってきてあげる」
「「いいもの?」」
オレと城山は首を傾げた。
「ヨーグルッチとかだったらタダじゃ済まさねーぞ」
「大丈夫大丈夫」
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