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「……おかえり」
玄関の扉を開けた神崎は、目の前の家の主を上目遣いで見上げ、小恥ずかしそうに迎えた。
「ただいまー」
姫川は両腕を広げ、神崎を抱きしめる。
「……メシ、できてる…」
「おお。カレーだな」
ダイニングから漂ってきた匂いに献立を言い当て、姫川は神崎とともに玄関を上がってそこへ向かう。
「美味そうだな」
「レシピ通りに作っただけだって」
「…指切ったのか?」
テーブルにカレーライスを盛った皿を運んできた神崎の人差し指に、絆創膏が巻かれているのを見つけた。
「ちょっとだけな。気にすんな。今はそういう新鮮さも楽しんでるとこだ。これが人間ってやつなんだなって…」
姫川の向かい側に座る神崎はそう言って小さく笑い、絆創膏の上から指を撫でた。
「「人間になって一生オレの傍にいろ」じゃなくて、「そのままオレの傍にいろ」の方がよかったか?」
姫川はあの時、神崎に囁いた願い事を口にした。
そのプロポーズのような言葉に、神崎は頬を熱くさせる。
「いや…っ、魔人のままってわけにはいかねーだろ…。つーかぶっちゃけ、てめーの願いが受理されるとは思わなかった…」
魔人を人間にする、という願いは魔人界でも予想できなかった願いだったのだろう。
願いを言われた瞬間、神崎のターバンが解けて消滅し、指を鳴らしても魔力を発揮することができなくなった。
「オレが人間になった途端、目覚めたようにいきなり襲いかかりやがって…」
「人間のままじゃねえと痛覚と快感もわからねーだろ。すり抜けるのも問題だ」
「男が好きなら、そう願えよ。いくらでもてめー好みのイケメン出してやったのに…」
「バカ言え。元々オレはゲイじゃねーよ。おまえがよかったの」
「………いつから?」
「うーん。きっかけは、出会って1週間目くらいかな? 四六時中半裸で傍にいられると、ノンケでも意識しちまうだろ。腰が細いとか、乳首エロいとか、背中キレイとか…」
「おまえその1週間以降、ずっとオレをそんな目で見てたのかっ!!?」
「てめーもいるから女で発散もできなかったし、けっこう限界だったんだよね、オレ」
「どや顔やめろ」
「まぁ、体の相性もよかったことだし…。精々オレを幸せにしてくれよ? このあと風呂入ったらマッサージよろしく」
「はぁ…。わかったよ、ご主人様」
呆れたようにため息をついた神崎だったが、その口元が綻んでいることに本人は気付かない。
「ところで…、レシピ通りに作ったっつったよな?」
「ああ」
「このカレー、若干ヨーグルッチ風味なのは…?」
「ヨーグルッチ入れたからに決まってんだろ」
ちなみに、神崎の魔人の力は完全に失ったわけではなく、指を鳴らせばヨーグルッチオンリー出現させることができる。
「……もう1つ、願い事聞いてくれるか?」
「なんだ?」
「今すぐヨーグルッチ卒業しろっ!!」
「却下だ、ご主人様」
.END