小さな話でございます。
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早朝、神崎より早めに起きた姫川はシャワーを浴びたあと、寝室に戻って鏡台の前に座り、自分の髪をドライヤーで乾かしていた。
勢いのいい熱風の音に引き寄せられたのか、神崎はゆっくりと目を開け、右手で目をこすった。
「ん~…」
眠そうな声だ。
うつぶせの頭が動いたのが鏡越しから見える。
一度ドライヤーを止め、「おはよう」と声をかけると、また「ん~」と言って返してきた。
神崎は手探りで枕元に置いた自分の携帯をつかみ、時刻を見る。
AM 11:00
「…もうこんな時間か…」
昼からは夏目と城山と遊ぶ約束がある。
9時にアラームが鳴るようにセッティングしておいたのに、と首をひねりながら、神崎は一度仰向けになろうとする。
「…ん…」
腰がだるくてできない。
仕方ないので、腕の力だけで毛布から這い出ようとする。
ぷるぷると体が震えた。
「……………」
まるで背中全体におもしを載せられたような感覚だ。
途中で力尽きて、べしゃっ、と枕の上に間抜けに倒れる。
「~~っ」
後頭部をぐしゃぐしゃに掻き、再チャレンジ。
「んぐ…っ、ふあっ!?」
下半身から漏れ出たものにびっくりして動きを止める。
「ぅ~~~っ」
泣きたくなった。
「神崎いいいいいいいっ!!!」
「うわっ!?」
一部始終を鏡越しに傍観していた姫川が耐え切れなくなって飛びついてきた。
「なんだなんだ!?」
「必死すぎてカワイイ! ぷるぷる動いててカワイイ! 全部カワイイ!」
「離れろコラァ! 大体てめー、オレが今日予定あるの知っててわざと激しくしただろ!! アラームも止めただろ!?」
完全に頭が醒めた神崎は姫川を問い詰める。
当の姫川は悪びれる態度は微塵も見せない。
「抱き心地のいい体抱いて寝てる近くで、「グルグルヨーグルッチ♪」なんて流れてみろ。神崎のケータイじゃなかったら窓から放り投げてるところだ」
「起きてアラーム止めたなら、オレも起こせよっ!!」
「オレはもうちょっとおまえと寝たかったし…」
「あ!! つうか、やめろって言ったのにこんなにキスマークいっぱいつけやがって!!」
その後言い争った挙句、気がつけば約束の時間も30分前に迫り、やむなくその日はキャンセルすることに。
夏目と城山は慣れたように「じゃあまた今度」と返した。
「約束もなくなったし、今日は怠惰に過ごそうぜー」
「もうおまえホント最低…」
神崎君、約束の前日は姫ちゃんに会いに行かなきゃいいじゃない(笑)
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