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ベッドに引き上げられ、突然ナイフで上着を引き裂かれた神崎は身をよじらせて暴れる。
だが、色黒とスキンヘッドに肩を押さえつけられてうまく抵抗できない。
眉ピアスは暴れる神崎にまたがり、不気味な笑みを浮かべながら神崎の胸を擦り、首筋を舐めてきた。
「ようやくオレ達の出番か。待ちくたびれたぜ」
「くぅっ、気持ち悪ィ…ッ! 触んな!!」
依頼人は扉の近くでその様子を携帯のムービーで撮影し、ほくそ笑んでいた。
「あとで彼に送ってあげよう」
「この…っ変態共が!!」
神崎は腕を縛られているため抵抗できない。
誘拐犯4人はそう過信していた。
ゴッ!!
神崎の振り上げたコブシがスキンヘッドのアゴに直撃した。
続いて、目の前の眉ピアスに頭突きを食らわせ、ベッドから落とす。
「な…!」
いきなりの反撃に、依頼人は携帯を持ったままたじろぐ。
「どうして…、縄は…!?」
「オレもびっくりだ。これで切れるんだからな」
神崎が見せたのは、姫川の家の合い鍵だった。
刻みの部分で切ったのだ。
神崎はベッドからおり、目眩に負けじと窓に向かって走るが、途中で背後から色黒の男に羽交い締めされてしまう。
「く…っ! うらああ!」
ガシャンッ!!
神崎は勢いよく右脚を突き出し、窓ガラスを破壊した。
「うぅ…っ!」
体が再びベッドに仰向けに押し付けられた。
右脚はガラスで切って血が滴っている。
「このヤロウ…、大人しくしてろよ!!」
ゴッ!
眉ピアスの男は神崎の頬を殴り、続けて何度も殴りつける。
「やめろ。死んだらどうする」
依頼人は冷たい口調で止める。
「どうせ金もらったらおさらばするんだ。なにしてもいいっつったのは先生だろ」
眉ピアスは余裕のない表情で神崎のズボンのベルトを外し、下着ごとずり下ろそうとする。
神崎はズボンをつかんで阻止しようとしたが、色黒に背後から両手首をつかまれてしまい、呆気なくずり下ろされてしまった。
あられもない姿をさらしてしまい、羞恥で顔が赤くなる。
体調が全快ならば勝てない相手ではないというのに。
「や…めろ…っ! むぐ…っ」
色黒の右手が神崎の口を塞ぐ。
続いてスキンヘッドが背後から神崎の両脚の膝裏をつかみ、両脚をムリヤリ開かせた。
「んんっ! うぅっん!」
神崎は首を横に振って手を振り払おうとする。
「抵抗すんな。うぜえ」
眉ピアスがナイフを取り出し、神崎の右頬に当てた。
神崎の顔は蒼白だ。
「ははっ、そうそう。オレ達全員が終わるまでそうやって大人しくしとけよな」
「んんん…」
(気持ち悪ィ…)
前を触られるが、悪寒しか感じなかった。
スキンヘッドや色黒も神崎の体を撫でつけたり、待ちきれないと言いたげに肩や首を軽く噛んでくるが同じだ。
(オレが捕まらなかったら…、姫川がこういう目に遭ってたのか…。だったら、オレが代わりに捕まってよかったのかもしれねぇな。…けど―――)
「反応ねえから面白くねえな…。まあいいか。ヤッてるうちにノッてくんだろ」
眉ピアスが神崎の頬にナイフを当てたままズボンを下げ、慣らしもしていない神崎の後ろに宛がった。
(あいつ以外に、オレの体はやりたくねえ…!!)
「痛って!!」
神崎は色黒の手に噛みついた。
たまらず色黒は右手を離し、その弾みで神崎はナイフで頬を傷つけたが、
「ひめ…っ」
大きく息を吸い込んで真っ先に頭に浮かんだものを叫ぶ。
「姫川ああああああっ!!!」
バキィッ!!
「「「「!!?」」」」
突然、扉が吹っ飛ばされ、全員が振り返った。
現れたのは、雨のせいでリーゼントが下りた全身びしょ濡れの姫川だった。
あの時姫川が携帯で聴きとったのは、工事に使う電動ドリルの音だった。
すぐに調べさせたところ、依頼人の根城の近くで工事を行っている場所はひとつしかなかった。
昨日、神崎とともにやむなく遠回りさせられたあの道の近辺だ。
持っていた地図にも、そのホテルの位置が記されてある。
1つめのホテルと同じく、そこも現在閉鎖中の廃虚のホテルだった。
8階まであり、どの部屋に神崎がいるのかと捜していたとき、神崎が窓ガラスを割った音を聞きつけ、息せき切らしながらたどりついたのだ。
全員、姫川の片手に持っているものを見てぎょっとした。
ホテルに設置されていた消防斧を持っているからだ。
扉を壊す際に使用したようだ。
「神ざ…き…」
その光景に姫川は言葉を失った。
神崎の顔には痣とナイフで切られた傷があり、足からも血を流していた。
そして、全裸の姿で、今まさに男に犯されかけているではないか。
「ひめ…かわ…っ」
神崎は涙目。
プツン、と細い糸が切れた音が聞こえた。
「て…めえらああああっ!!」
「ひっ…!!」
我を見失った姫川は消防斧を振り上げ、3人組の男に躍りかかった。
「「「ひぃぃぃぃっ!! ジェイソン―――っっ!!!」」」
色黒とスキンヘッドは急いで神崎から離れ、ベッドから転げ落ちた。
同じく眉ピアスも背中から床に落ち、ナイフで対抗しようとする。
だが、素人の振り回すナイフが斧に勝てるわけがない。
呆気なく弾かれたナイフは依頼人の顔のすぐ横を通過し、壁に突き刺さった。
腰を抜かす依頼人。
腰を抜かす3人組。
姫川の狙いは神崎を犯そうとした眉ピアスだ。
眉ピアスは座り込んだままバックするが、壁に背中をぶつけ、それ以上逃げられず、怯えた表情で姫川を見上げた。
「てめぇの汚ねえモン、今すぐ去勢してやる!!」
姫川は消防斧を振り上げ、勢いよく振り下ろした。
「やめろ姫川っ!!!」
ザクッ!
「あ…っ、ぁあ…」
間一髪だった。
消防斧の刃先は眉ピアスの粗末物の1ミリ手前に刺さったが、眉ピアスは白目を剥き、泡を吹いて気絶した。
同じく、色黒とスキンヘッドも恐怖のあまり同じ姿で気絶している。
「姫川…、まだ…、ヤられてねえから…。……てめぇ以外…」
斧を手放し、振り返る際に姫川は神崎を抱きしめた。
「神崎…っ!」
「くそ…っ。もっと早く来いよ…!」
そう言いながらも、神崎はしがみつくように姫川を抱きしめ返した。
怖い思いをしたのだろう、神崎から震えが伝わってくる。
「く…っ!」
依頼人は立ち上がり、部屋から出ようとした。
その前に、姫川が声をかける。
「外には、てめえらのために用意した、1億円のヘリが飛んでるはずだ。目的地は、てめえの胸に聞いてみろ。“スパングル・コーポレーション”の元社長さん」
「…!!」
肩越しに振り返った依頼人の顔には絶望の色が浮かんでいた。
「なぜ…それを…」
姫川は神崎を抱きしめたまま、依頼人と顔を合わせ、不敵な笑みを浮かべる。
「…いいネクタイピンじゃねえか、それ」
「っ!」
依頼人は思わずそれをつかみ、悔しげな顔をする。
「貴様ら…、姫川の人間が、また私から全部奪うのか!?」
「勘違いすんな、逆恨みヤロウ。てめーのトドメを刺したのはてめー自身だ。姫川は忘れて一からこつこつやってればよかったものを…。たかが5億で神崎を振りまわしたんだ。昔のオレなら、てめーもこいつらと一緒に去勢してやるところだ…!!」
ドスの利いたその言葉が本当のトドメになった。
依頼人はへなへなとその場に両膝と両手をつく。
姫川は神崎にズボンを穿かせ、上の服は破けているので変わりに自分のアロハシャツを着させ、肩を貸しながらその部屋をあとにした。
外では蓮井がリムジンの一番後ろの後部座席のドアを開け、雨の中待っていた。
片手に持たれたケースが、5億を取り戻したことを物語っている。
ホテルから出てきた姫川と神崎。
蓮井が傘をさして2人のもとに駆け寄ろうとしたとき、神崎が「あ、待った」と声をかけ、雨の中へと歩き出した。
「神崎?」
「ちょっと…、洗わせてくれねーか」
雨空を見上げ、先程まで3人の男に触られた体を洗い流す。
視界には依頼人達を迎えにきた大きなヘリが入った。
そこで姫川はぐいっと神崎の腕を引っ張り、後部座席へと押し込んだ。
「姫川?」
「帰って、あったかいシャワーでオレが洗ってやる。…洗わせろ」
「………ああ」
車のドアが閉められ、「ごゆっくり」と礼をして蓮井は運転席へと移動した。
姫川達を一番後ろの席に乗せたのは、蓮井の計らいだ。
車が動き出し、2人は肩を寄せ合いながら窓の外を見ていた。
「ン…っ」
不意に、姫川は神崎のアゴをつかみ、深いキスをした。
「はぁ…っ」
「挿れられる前に救出できてよかった…」
「……体…、触られたり、舐められたり、噛んだりされたけど…、その…」
「?」
口を濁す神崎の顔を覗きこむ姫川。
神崎の顔をは真っ赤になり、姫川と目を合わせて軽く睨み、呟くように言った。
「やっぱり姫川じゃねえと、感じねえみてーだ…。なんて体にしてくれたんだ…っ。うわっ」
姫川は後部座席に神崎を押し倒し、首筋に軽く噛みついた。
「うぁ…っ」
甘い痛みに、神崎は身をよじらせる。
「本当にオレだけなんだな?」
「ん…っ」
「神崎、どこ触られたか言ってみろ。オレが全部オレでキレイにしてやるから」
「姫川…」
とろんとした目が姫川を見上げ、ぽつぽつと触れた箇所を言っていく。
姫川もひとつひとつ、神崎の体に触れて、舐めて、噛む。
「おまえはオレが守ってやるから…。2度とこの体…、いじらせねえから…」
「…オレだって…、おまえのこと…ぁっ、守って…やるよ…」
絆が深まった2人は、何度目かのキスを交わした。
(もう少し遠回りしましょうか)
運転中の蓮井はしばらく2人の熱が落ち着くまで、わざと遠回りの道を選んだ。
そして、姫川の家に到着する頃には、嵐のような雨もやんでいた。
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