身代金はいくらですか?
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約束の時間まで1時間半。
自分のマンションに戻ってきた姫川は、パソコンがずらりと並べられた部屋で蓮井や他のメイド達に調べ事をさせていた。
5億の準備はそう時間はかからない。
ただ、気になっていることがいくつかあった。
本当に相手が素直に神崎を返すのか。
自分の誘拐に失敗しても、神崎の家だって億の額をとれるほど裕福な家だ。
それなのに、いくら姫川の友人だからといってあんなふざけたような多額な身代金を要求するだろうか。
「無理だ」と答えた時はどうする気だったのか。
それに、「姫川社長」というワードも気になっていた。
そこで姫川はある答えを導き出した。
犯人は、姫川財閥に恨みを持つ者。
「社長」と言っていたのだから、元・社員か、仕事関係者かもしれない。
姫川は家の者に、過去姫川財閥をリストラされた社員や、倒産させられた会社の社員を調べさせているところだ。
しかし、特徴が口髭の中年だけでは割り出すのは困難を極める。
姫川は椅子に座り、神崎の携帯を見つめた。
頭を掻きたかったが、リーゼントが崩れるので寸でのところで手を止める。
「坊っちゃま…」
席を立った蓮井は姫川のために、よく冷えたグラスに注がれた水を手渡した。
「そう自分を責めないでください」
「……ああ」
自分が捕まっていれば、神崎が誘拐されることはなかった、と。
口にはしなかったが、蓮井はその表情から自責の念にかられる姫川の心を読みとっていた。
「……!」
水を飲んだ姫川は、神崎が最後に呟くように言った言葉を思い出す。
「黒い蝶…」
「え?」
「聞き取りにくかったが、黒い蝶のなにかだ…。誘拐犯と関係あるのかもしれない。…調べてくれるか?」
犯人の特徴かどうかはまだわからない。
しかし、もう手掛かりがこれだけしかないのだ。
蓮井は強く頷いた。
「約束の時間までに、調べてみせます」
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