身代金はいくらですか?
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
下校時間、夕暮れに染まった町の中、神崎と姫川はいつもの帰り道を歩いていた。
今日は姫川の家に泊まる約束をしているので、神崎も姫川の家へと向かう。
今日のことをだべり、明日のこと、明後日のことを話しながら。
「!」
途中、神崎は“この先工事中”と書かれた看板を見つけた。
近くで、電動ドリルで地面を削る音が聞こえる。
「ここから先は通れそうにねえな」
「じゃあ、こっちから」
姫川は神崎の手を引いてすぐそこにあった曲がり角を曲がり、先程よりも広い道に出る。
「遠回りになっちまうが、あそこが通れねえなら仕方ねえだろ。まあ、鈍行に行こうぜ」
そう言って姫川は神崎の肩を引き寄せた。
神崎は迷惑そうに眉をひそめる。
「だからいつも言ってんだろが。公共の道の真ん中で絡んでくるな」
「冷たい奴だな」
姫川が口を尖らせた時だ。
パシャッ
「!」
微かに聞こえたその音に、神崎はピクリと反応し、音が聞こえた方向に顔を向けた。
小さなビルの2階の窓を見上げるが、人影らしきものは見えない。
「ん? どうした?」
「今、なにか聞こえなかったか?」
「そうか?」
姫川もそちらに顔を向けるが、やはり誰もいない。
そこで姫川は同級生の誰かが話していたことを思い出し、口元をニヤつかせながら神崎に囁いた。
「…神崎、ここ、夜になったら幽霊出るって言ったら信じるか?」
「は…、はあ? 信じるわけねえだろがっ。バッカじゃねーの?」
だが、反射的に姫川の裾をつかんでしまう。
その反応に姫川は満足したのか、犬のように神崎の頭を撫でた。
「わっ、なんだよ!?」
「いやぁ、もうホントおまえ愛しいわ。ゲームの前に食ってもいい?」
「なにを!?」
そんなことを話しながら、2人は先を行く。
その背中をみつめる者がいるとは知らず。
.