あなたにサプライズを。
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その夜、姫川はひとり自分のマンションに戻ってきていた。
本当はあのまま神崎をお持ち帰りするはずだったのに、と玄関で靴を脱ぎながら内心で舌を打つ。
神崎はなにやら用事があるから一緒に帰れないとのこと。
ダイニングのソファーに腰を下ろし、携帯をいじる。
さっそく着信やメールが来ていた。
名前だけでは顔が思い出せない人からもだ。
内容は似たり寄ったり。
「誕生日おめでとう」。
またメールを受信した。
誰かと思えば、夏目からだ。
“オレからの誕生日プレゼント(≧▽≦)b”
写真つきだ。
「!!!」
開いて見ると、エプロン姿の神崎、調理器具を手にして困惑顔の神崎、ホイップで顔を汚してしまった神崎、完成して城山とともにバンザイしてる神崎など。
携帯を持つ手は震え、腰が重くなる。
(あのヤロウ…、今日はこの写真だけでヌケってか? 今すぐ本物寄こせっ!!)
ガマンならず、神崎に電話をかけようとアドレス帳を開いた時だ。
インターフォンが鳴らされた。
「!」
同じマンションの住人と混じってマンションの入口から入ってきたのだろうか、鳴らされたインターフォンは部屋の玄関からだった。
神崎が来たのかと期待し、小走りで玄関に向かい、扉を開ける。
「げっ、またおまえら!」
現れたのは、宅配業者に扮装した男鹿と東条だった。
またみぞおちに一発食らわされたあと、縛りあげられ箱に詰められるのかと思い、構える。
「「お届けものでーす」」
2人は持ってきたリボンつきの大きな箱を玄関に置き、「まいどどうもー」と去っていく。
「…?」
念の為、扉に鍵をかけた姫川は箱に近づき、おそるおそるリボンを解いて開けてみる。
三角座りした神崎が入っていた。
一度蓋を閉め、壁に額を強く打ち付けて夢でないことを確認してからもう一度開けてみる。
目を合わせたまま硬直していると、恥ずかしがって神崎の方から目を逸らした。
「……もういっこ…プレゼント…。…夏目が言いだしたんだからな? ……いらねーなら……」
神崎は自分から箱の蓋を閉じようとする。
姫川はそれを阻止し、神崎を抱きしめ、そのまま箱から出した。
「いる…っっ」
(夏目グッジョブ!!)
「姫川、誕生日…おめでとう…」
「うんうん。全力で祝ってくれ」
姫川は神崎をだっこしたまま廊下を歩き、寝室を目指す。
「またオレが年上だな」
「2ヶ月だけな」
「その日は、オレでも今日と同等のものがプレゼントできるかわかんねーけどな」
自分を祝ってほしいのは、ただ一人。
.END