あなたにサプライズを。
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夕方、予定通り、石矢魔特設クラスの面々が教室に集まった。
ただし、まだ全員ではない。
カーテンが閉められた暗い部屋の中、神崎は壁にかけられた時計を見上げ、「そろそろだな」と呟いた。
「…で、どうやって呼びだすつもり? 携帯?」
こちらはスタンバイOKだ。
あとは主役が来るのを待つだけ。
「それじゃあ、面白味がねえだろ? もう手は打ってある」
神崎は口元に薄笑みを浮かべ、そう答えた。
すると、教室の扉が開かれた。
「「お届けものでーす」」
入ってきたのは、2人がかりで大きなダンボール箱を運んできた、宅配業者姿の男鹿と東条だ。
蓋を開けると、ロープで手足を縛られた姫川が入っていた。
「ドッキリが必要だと思ってよ」
「かなりドッキリだろうね」
東条は姫川のロープを解いて解放し、姫川はダンボールから顔を出す。
「てめえら、どういうつもり…」
パァンッ!!
一斉にクラッカーが鳴らされた。
「「「「お誕生日おめでとー!!」」」」
「…え?」
カーテンが開けられ、部屋が明るくなる。
テーブルには、ロウソクがさされた2段重ねの大きなバースデーケーキが置かれていた。
1段目がチョコケーキ、2段目がショートケーキだ。
「今日、おまえの誕生日だろ? 知らなかったか?」
「いや…、知ってたけど…」
正直に言うと、拉致られるまで神崎からのバースデーメールを自室で待ちわびていた。
まさかこんな形でクラス全員に祝われるとは思ってもみなかった。
「ウチらが教室の飾り付けやって、このケーキ、神崎先輩が作ったらしいっスよー! パネェーッ」
花澤がはしゃぎながら姫川に教える。
「神崎が…?」
「あー…、その…、おまえってなんでも持ってるだろ? だから、物が思い浮かばなくてよぉ…。…プロのパティシエの作ったもんじゃねえけど…、まずくはないと…」
徐々に赤面していく神崎。
「神崎…」
乙女のようにキュンとする姫川。
神崎なりのデコレートなのか、ケーキのてっぺんにフランスパンがこれみよがしに突き刺さっているのを見ても、今は気にしなかった。
「よし、じゃあ食うぞ!」
「おい、勝手に手ぇ出すな!」
男鹿がフォークを片手に声をかけ、他もフォークを掲げ、ケーキをつつき始める。
神崎は止めようとするがもう遅い。
エサを撒かれたハトのように群がっている。
「姫川! 早くおまえも食え!」
神崎は姫川にフォークを手渡し、自分も群れの中に飛び込む。
姫川はその光景を見て、これほど騒がしい誕生日祝いは初めてだと気付き、微笑んだ。
「てめーら…、それはオレのケーキだ!!」
同じく、群れの中に飛び込み、神崎の想いがこもった特製バースデーケーキにフォークを伸ばした。
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