小さな話でございます。
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姫川が出かけている時は、神崎がヒヨコ達の面倒を任されていた。
里親に出すことが目的の祭りはまだまだ先だ。
神崎の家で面倒を見ようかと考えたが、姫川から離れてしまううえ、強面の男達ばかりでヒヨコ達がストレスでノイローゼにならないか心配になり、断念した。
最初はなかなか近づかなかったヒヨコ達だったが、親である姫川が気を許しているのを見て学習したのか、最近は徐々に心を開いてきた。
神崎はソファーに座り、ダイニングで走りまわっているヒヨコ達を眺め、声をかけてみる。
「……チッ、チッ」
すると、ヒヨコ達が一斉に動きを止めて神崎を見つめた。
「……ひよひよ」
仲間だと思わせるために神崎は声をマネて手招きしてみる。
すると、ついにヒヨコ達が自ら順番に神崎の足下に歩みよってきた。
ひよひよ、ひよひよ、とエサは先程上げたばかりなのに甘えるように鳴いている。
「おー…」
神崎は小さな感動を覚えながら、ヒヨコ達を一匹ずつ両手ですくい上げ、ソファーにのせていく。
10匹。
全員いることを確認。
「お、お?」
神崎の体にのぼってくるヒヨコまで。
神崎は一匹だけ手のひらにのせてみる。
甘えているのか確認しているのか、手のりヒヨコは神崎の手のひらを軽くつついた。
「おい、つっつくな。くすぐってーだろ」
姫川が悩殺されるような笑みを浮かべる神崎。
1時間後、姫川が帰宅した。
真っ直ぐにダイニングへ向かい、扉を開ける。
「神崎ー、悪かったな。ヨーグルッチ買ってき……」
その光景に姫川は思わず持っていたビニール袋を落としてしまった。
「スー…、スー…」
神崎とヒヨコ達はソファーで眠っている。
その状況だ。
仰向けに寝転んだ神崎の胴体に9匹の塊、残り1匹は入る隙間がなかったのか神崎の眉間の上で眠っていた。
(ヒヨコが11匹…っっ!!)
震える姫川はまずケータイのカメラモードでその光景を連写。
抱きしめたいが抱きしめられない状態に悶絶。
いっそのことヒヨコをこのまま飼育しようかと思案。
その時、眉間にのったヒヨコが寝言で「ぴょ…」と鳴いた。
「スー…、スー…、ぴょ…」
そして、神崎の寝言がトドメとなり、撃沈。
しばらくして、神崎が目覚めるまで録画モードで撮影を開始した。
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