真犯人を見つけましょう。
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時間は深夜2時。
石矢魔町のとある公園に集合した、姫川、城山、夏目、古市。
「よし、全員そろったな」
「どうしてこんなことに…」
古市が嘆くのも無理はない。
全員、女装しているのだから。
「男鹿はどうした? あいつにも声かけたのに…」
「さっき男鹿からメールが…」
古市は携帯の画面を全員に見せた。
“ねむい ねる”
姫川は古市から携帯を取り上げ、地面に叩きつけた。
「マイペースかっ!!」
「オレの携帯!!」
「まあ、あまり人数いても、怪しまれるだけだしね…。好都合なんじゃない? …城ちゃんはやる気満々だね」
城山は明らかにサイズが合ってないピチピチのワンピースを着ていた。
真顔から真剣さがうかがえる。
だが、逆に通報されそうだ。
「姫ちゃんはやりすぎじゃない? どこのマダム?」
「そうか?」
姫川は髪を下ろし、ブランドもののドレスを着、首にはこれまた高そうなファー、手にはラメのはいったブランドの片手バッグを提げていた。
ちゃんとハイヒールも履いている。
「金持ちスタイルでいたほうが狙われやすいと思ってな」
「この胸はどうやって作ったんスか?」
姫川の胸は豊かな膨らみを持っていた。
愛らしいクマの人形を胸に抱いたロリータスタイルの古市は試しに触ってみる。
本物のように柔らかい。
「パットだ。ちょっと胸が苦しいけどな。…いつまで触ってんだ!」
「いえ、お気になさらはぶしっ!」
古市は姫川のバッグで頬を撲られた。
「…夏目はあんまり気にしてないんだな」
「うん。意外としっくり♪」
夏目は赤チェックのスカートを穿き、頭には帽子を被り、靴は動きやすそうなブーツを履いたカントリー系のスタイルだ。
「犯人が出てくるように人気のないところを歩け。特に城山は」
「囮ってバレないように、女の子らしくね。ガニ股ダメ。特に城ちゃんは」
「犯人以外に男ってバレた時は迷わず逃げる! 特に城山先輩は!」
「なぜオレばっかり」
とにかく、作戦開始。
各々、遠くもなく近くもない程度に離れ、石矢魔町をまわりだす。
「キャーッ!!」
数時間後、古市の叫び声が聞こえた。
叫び声に気付いた姫川と夏目は声の方向に走る。
「出たか! 古市っ!」
「助けてくださ~い!!」
古市は、コンビニの前でたむろしていた不良達に絡まれていた。
「スゲーカワイイな!」
「超好み!」
「いいだろ? 今から遊びにいこうぜぇ」
姫川&夏目、不良達を撃退。
「紛らわしい悲鳴上げてんじゃねえよっ!」
その後、姫川のスタンバトンで軽く小突かれる古市。
「キャーッ!!」
すると、別の方角から女性の悲鳴が聞こえた。
3人は顔を見合わせ、すぐに現場に急行する。
「しまった! 本物の女が狙われたか!」
曲がり角を曲がったところで3人はその現場を目撃する。
「いやー! こっちこないで変態っ!!」
「違う! 違うんだ! オレはただ神崎さんのために…!!」
悲鳴を上げながら腰を抜かして座り込んだ女性に、必死に言い訳する城山。
3人の行動は早かった。
すぐに姫川が城山の左腕、夏目が城山の右腕に自分の両腕をかけて引きずるようにその場を退散する。
ゴン!
「ぐっ」
集合場所の公園で、城山はスタンバトンで脳天を撲られた。
「てめーはそんなに檻ん中で神崎と再会したいのか!?」
「姫ちゃん、落ち着こう」
夏目は「どうどう」と暴れ馬をなだめるように姫川と城山の間に入る。
「こうしてる間にも、神崎は檻の中でひとり寂しくしくしく泣いてるかもしれねーんだぞ! 周りには女に飢えた他の囚人がいて、神崎はこのままだと毎晩そいつらの肉便k…」
「落・ち・着・こ・う・か!!」
夏目は姫川の両肩を強くつかみ、「軽く発禁ワード使っちゃダメ」と黒い笑顔で叱る。
「焦る気持ちはわかるけど、あまり騒ぐと犯人に逃げられちゃ…」
夏目が言いかけた時だ。
「キャ―――ッ!!」
近所で、悲鳴が上がった。
はっとした4人はすぐにその方角に走る。
「乙女の悲鳴!」
「今度こそ本物なんだろうな!?」
古市に続き、姫川も走りながら言う。
声が聞こえた路地を直進すると、座り込んだ人影が見えてきた。
駆け寄り、その人物に4人は愕然とする。
「嗚呼、怖かった…」
エプロンをした専業主婦に化けた(?)アランドロンだ。
「「オッサンが襲われたのかよっ!!!」」
姫川と夏目は同時につっこむ。
「おまえなにしてんの!!?」
「いえ…、貴之が女装をして囮になったと聞いたので、そんな危険なことをするなら私も…っっ!! …と」
「よく狙う気になったな、犯人」
城山はもっともなことを呟く。
「そんなことより! 犯人はどこ行った!?」
姫川は急いで辺りを見回すが、どこにも見当たらない。
「犯人はバイクを使って犯行に及びました!」
「バイク!? それじゃあ追いかけようが…」
古市がそう言いかけたとき、「あ、追いかけます?」とアランドロンはパカッと2つに割れた。
「うわっ!?」
目を丸くする4人だったが、躊躇っているヒマはなかった。
果敢にも、姫川が飛びこんだ。
「その手品、オレに貸せっ!」
定員は一人。
アランドロンはフッと消え、犯人のもとへ姫川を転送する。
その頃、犯人は、女装したアランドロンから手提げバッグを手に、大通りの車道を走っていた。
警察に目をつけられないよう、頭にはフルフェイスのヘルメットを被っている。
ヘルメットの中の口元はほくそ笑み、高笑いを堪えている。
しかし、いつまでも事がうまく及ぶとは限らない。
バキッ!!
いきなり目の前に襲った女が現れたかと思えば、真っ二つに割れ、そこから伸びたスタンバトンが顔面に直撃し、ヘルメットの窓が割れた。
その衝撃でバイクごと転倒してしまう。
「な…んだ!?」
犯人はゆっくりと身を起こし、アランドロンから出てきた姫川を見る。
「相変わらずスゲー手品だな…」
「ひ…っ!」
目が合った犯人はアランドロンから奪ったバッグを捨てて逃走を試みたが、姫川は狙いを定め、犯人に自分の持ってたバッグを投げつけ、見事に命中させた。
犯人に当たって宙を飛ぶバッグから、金塊がこぼれる。
「けっこう重かったんだぜ? それ」
犯人はうつ伏せに倒れ、ノビた。
その間に、夏目、城山、古市がアランドロンを使ってそこへ移動した。
歩道の真ん中、4人は仰向けに寝かせた犯人を囲み、夏目がヘルメットをとり外す。
ついに露わになった犯人の素顔。
「……金髪…のヅラ」と姫川。
「顔の傷…。……アゴの傷?」と夏目。
「口元の…チェーンのピアス…。ていうかコレ、耳から舌先に直結してません?」と古市。
「高校生くらい……には見えん」と城山。
「「「「ただの学ラン着たオッサンじゃねえかっっっ!!!」」」」
気絶したやんちゃなオッサンにつっこむ4人。
遠くから、パトカーのサイレンの音が聞こえてきた。
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