王子は何処に?
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荷台を倉庫に入れ、カンザキはヒメカワに支えられながら家の中へと入った。
鍵も忘れずに閉める。
「「……………」」
玄関の前で立ち止まって扉を背にし、しばらく顔を逸らしたまま沈黙が続く。
それを破ったのはヒメカワだった。
「え…と…、オレが王子だってのは…」
「知ってる…。兵士が聞きまわってただろ…。てめーもよく平然としてられたよな」
てっきり距離を置かれた返しをされるのかと思えば、相変わらずのタメ口にヒメカワは小さく安堵する。
「リーゼントとサングラスならバッチリだと思ってな」
それは言えてる。
兵士でさえ気付かせなかったほどの化けっぷりだ。
「別人じゃねえか、誰だよ…って…王子か…」
「……たぶん噂も広まる…。だから…」
ヒメカワは振り返り、出て行こうとノブに手をかけた。
「!」
同時に、カンザキの手がヒメカワの袖をつかむ。
「……カンザキ?」
「まだ…、宿代が余ってる…。さっき、助けてもらった借りもある…」
「けど、てめーに迷惑かけちまう…。正体もバレたし…」
「だからなんだよ…。オレはてめーが王子だろうがどうだっていい。それを捨てて来たんだろ? …行くな、ヒメカワ」
ヒメカワは手をノブから手を放して振り返り、カンザキの体を抱きしめた。
「後悔すんなよ。引き止めたの、てめーだからな」
チュ、とカンザキの頬の傷に口付けする。
カンザキも爪先立ちでヒメカワのまぶたの傷に同じく口付けを返した。
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