王子は何処に?
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その夜、カンザキはヒメカワを連れて行きつけの酒場に来た。
18歳だからお酒はダメ?
このパロでは18歳以上は飲酒OKです。
「よう、シロヤマ」
「あ、カンザキさん…。どうしたんですか」
入店した2人はボロボロだった。
最初は自分達だけで殴り合っていただけなのに、いつの間にか乱入してきた街の住民にもみくちゃにされてしまたからだ。
兵士が止めに入らなければ夜まで続いていたかもしれない盛り上がりようだった。
2人はカウンターに座り、酒を注文する。
「ウィスキー2つ」
アイスピックで氷を砕いていたマスターのシロヤマは「はい」と答え、2人分の酒をつくる。
「ヒメカワ、おまえけっこう喧嘩強ぇな。オレほどじゃねーけど」
「てめーこそ」
「何人倒した?」
「10から先は数えてねえな」
「オレは絶対30はブッ倒した」
「うそつけ。オレはちゃんと見てんだからな。30未満だ」
「決め付けんなよ」
2人はまた小突き合いを始めるが、口元は笑っていた。
酒を入れるシロヤマは内心穏やかではなかった。
(こいつ、何者だ!? カンザキさんと親しげに喋ってる…!?)
問い詰めたいが、イチャついているように聞こえる会話には入れない。
ウィスキーが入ったガラスのコップが出され、2人は軽くぶつけて乾杯する。
そうしたら、後ろから2人の間から、同じく酒の入ったコップが突き出されて「かんぱーい☆」と混じってきた。
「ナツメ…、またおまえか」
振り返ったカンザキは、すっかり見慣れたその顔に飽き飽きしたように言った。
ナツメは軽く笑ってカンザキの隣に座る。
「そう言わないでよ。今日は奢るよ。久しぶりに大勝ちしてきたからね」
ナツメは懐から、博打で勝ち取った金を取り出し、カウンターに載せた。
「シロちゃん、2人に好きなだけ酒あげて」
「おまえなぁ…」
数十分後。
「そしたらその客っつったらよぉ、散々文句つけやがってよぉ…」
へべれけカンザキが出来あがっていた。
「うわぁ…。すっかり出来あがってんな…」
ヒメカワは指先でツンツンとカンザキのつむじをつついた。
カンザキは「やめろよぉ…」とくすぐったく笑う。
「ピッチあげて飲むから…」
「あははははっ、カンザキ君おもしろーい」
「こっちも…」
カンザキとナツメは笑い合いながら背中の叩き合いをしている。
ほろ酔いのヒメカワはため息をついてその様子を眺めていた。
「羨ましい奴らだぜ…」
サングラスを通して、羨望の眼差しを向ける。
ナツメとシロヤマと別れ、酒場をあとにしたカンザキとヒメカワ。
ヒメカワはカンザキを背負って家へと向かう。
「ん~…」
カンザキはヒメカワの背中に額を擦りつける。
ヒメカワはそのくすぐったさに小さく笑う。
「やめろよ、犬か、てめーは」
普段はネコみたいにツンツンしてるくせに。
「ぅん」
「(笑)」
町外れまできたとき、ヒメカワは「おい、起きてるか」と背中のカンザキに声をかけた。
「んー…」
寝言にも聞こえそうな返事だ。
「…ったく、そんな状態になるのに、よく酒場に行けるよな。夜道とか危ないだろ…」
「いつも…、ナツメやシロヤマが…送ってくれる…」
ナツメもあの調子だ。
大半はシロヤマだろう。
「あ、そ…」
家に到着し、背負ったままのカンザキのポケットから鍵を取り出して開ける。
電気がないので、窓や壁の小さな差し込む月の光が明かりの代わりだ。
ロウソクをつけるべきかと思ったが、わざわざ棚から出してつけるのが面倒だ。
カンザキをベッドまで運び、下ろそうとする。
「ほら、おりろよ」
「嫌だ~。ここはもうオレ様の指定席だ~」
しがみついて離れようとしない。
「首にしがみつくなっ」
カンザキの両腕をつかんでほどくと、その体は背中からベッドに倒れた。
カンザキは陽気にケラケラと笑っている。
「この酔っ払いが…」
つかまれていた首を擦り、風邪をひかないようにとカンザキにタオルケットをかける。
「いいな、おまえは…。オレなんて、一緒に話す相手も、酒を飲み交わす相手もいねえから…」
そう呟いて背を向けた時だ。
「オレだって…、昔は家に束縛されてた…」
「!」
振り返ると、タオルケットを肩にかけ、ベッドに腰掛けたカンザキが真剣な顔をこちらに向けていた。
「この国に来るまで、貴族の家で暮らしてたけど、外は危ないからとかで家から出してもらえなかったし、挙句に政略結婚させられそうになって、ブチ切れて飛びだしてきた。…まあ、よくある話だよな…」
「……………」
ヒメカワはその頃のカンザキを想像し、自分と重ねた。
目を伏せていると、カンザキが目の前まで近づいてきた。
「あ」と思った時にはサングラスをとられてしまう。
「とった~♪」
まだ酔いが続いていたようだ。
晒された目を覗きこまれ、「へぇ」と目を丸くされる。
「な、なんだよ…」
「おまえ意外と目ぇ大きいな。まあ、オレはこっちのヒメカワも好きだけどな」
手に持ったサングラスに指をさし、優しい笑顔を見せた。
「……………」
「お、なに…」
両肩を強くつかまれたかと思ったら、いきなり口付けられた。
「え…、な…、ぅん…っ」
驚いているヒマもなく荒く貪られ、気がつけばベッドに押し倒されていた。
「ヒメ…カワ…?」
「今のは、てめーが悪い」
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