王子は何処に?
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ヒメカワが連れてこられた部屋には、大人一人が寝転がれそうなソファー、無駄に空きのある本棚、低い長方形のテーブルがあった。
横の壁には穴が空いてるのか朝日の筋が差しこんでいた。
部屋の埃っぽさにヒメカワは眉をひそめる。
「ここがオレの部屋?」
「嫌なら廊下で寝ろ。仕方ねえだろ、うちは宿屋じゃねーんだ。空いてる部屋って言ったら、この書斎しかねーよ」
「…隣の部屋がいい」
「オレの部屋だボケ」
小さい家だ。
残る部屋といったら小さなキッチンだけ。
それと家の隣には小さな倉庫がある。
それでもこの広さはこの街では自慢に値するほどのものだ。
「じゃあさ…」
ヒメカワの声色が変わり、その手がカンザキのアゴに添えられる。
「欲求不満の方はオレが解消してやるから、ベッド…使わせへぶっ!!」
カンザキは握りしめたコブシをヒメカワの額に打ち込んだ。
ヒメカワは仰向けに倒れ、殴られたところは煙を上げた。
「おまえ男娼か? 悪いが男を抱く気はさらさらねーよ」
指の関節を鳴らすカンザキ。
ヒメカワは倒れたまま右手を上げ、人差し指と中指を立てた。
「ひとつ、オレは女が好きだ。ふたつ、抱くのはオレ」
ドヤ顔。
「サングラスごと叩き割るぞ、てめーのドタマ」
そう言ったあと、カンザキは「これから仕事なのに疲れさせんじゃねえよ」と呟きながら書斎を出る。
ヒメカワは起き上がり、カンザキの背中を追った。
「どこ行くんだ?」
「あ? 街だ、街。物売りに行ってくる。夕方には戻るから…」
「オレも行く」
「はぁ?」
「手伝うから」と付け足され、カンザキは渋々連れていくことにした。
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