王子は何処に?
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
とある王国の城にて、事件は起こった。
いつもの朝、この国の王子の召使いであるハスイは大理石の長い廊下を渡り、王子を起こすため、部屋へと向かっていた。
他の召使いと通過するときはこちらから礼儀正しく挨拶をしながらだ。
塔を登り、角を曲がって奥にある王子の部屋の扉の前に着き、その大きな扉をノックする。
これがいつもの習慣だ。
「タツヤ王子、朝食の用意ができております」
いつもなら、しばらくして寝惚けた返事が返ってくるのだが、今日はいくら待っても返事はない。
ハスイはもう一度ノックする。
今度は強めに。
それでも、返ってくるのは無言だけ。
「…熟睡なされているのですか? …失礼します」
不審に思った蓮井はノブに手をかけた。
「!」
ノブは簡単にまわった。
いつもは固く閉ざされているというのに。
扉を開けると、頬に風が当たった。
窓が開かれているからだ。
眩しい日差しが差し込み、カーテンが風で揺れている。
部屋も広いため、ベッドまで十歩以上歩かなければならない。
カーテンで閉められたベッドに近づいたハスイは、おそるおそるカーテンを開けた。王子はいない。
代わりに1枚の紙を見つけた。
「こ…、これは…!?」
紙を握りしめ、ハスイは急いで隣の塔の玉座の間へと走った。
慌てた様子のハスイを見た他の召使いも何事かと怪訝な顔をする。
「王!!」
さらに大きな扉を開けて玉座の間に到着したハスイだったが、玉座に王は座っていなかった。
「王なら、自室でまだ寝てますよ」
王の側近であるフルイチは「これから起こしにいくとこです」と呑気に言った。
ハスイは前屈みになり、息を弾ませた。
この城、めっちゃ広いので体力系男子でないと移動は酷だ。
「どうなされたんですか?」
フルイチは代わりに事情をきくことに。
「た…、タツヤ王子が…、家出なさいました…!!」
「へ?」
ハスイは部屋にあった紙を見せた。
“だるいから王子やめます。探さないでください(てへぺろ☆)”
「てへぺろ☆じゃねえええええ!!!」
紙をぐしゃぐしゃに丸めたフルイチは、王を呼び出す前に兵士達を呼びだした。
「すぐに王子を探せ―――っ!!」
兵士達はすぐに城を飛び出した。
それを窓から見届けたハスイはフルイチに尋ねる。
「あの…、王に相談せずに勝手に兵士達を出していいんですか?」
「御存じの通り、うちの王は昼まで起きませんし、適当だから「フルイチ、捕まえてきて」とかネコ捕まえてきて感覚で命令されるのが目に見えてるんですよ! 王子も婚約間近だってのにそんなテンション! もうこの国終わってますよっ! 王も王子もっ!」
「フルイチ様、ストップ。今の発言…打ち首ものです」
普段から王に苦労させられているため、ストレスがたまりまくっていたのだろう。
それに追い討ちをかけるように、王子の脱走。
これでこの国が成り立っているのだから誰もが不思議に思う。
陰でフルイチが支持しているからだとかそんな噂も。
あながち外れではないだろう。
「王子…、いったい何処へ…」
.