ホワイトデートしましょう。
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夕方となり、そろそろ閉園間近となってきた。
2人は写真を巡っての攻防戦を繰り返していたが、お互い疲れてきて写真は姫川が持ったままだ。
「神崎、最後に、アレ乗ってこうぜ」
ベンチで休んでいた2人はそれを見上げた。
「…また定番を選ぶよな、てめーは…」
「定番だからこそだ。…ところで、アレで一発できると思うか?」
「緊急停止するだろうな」
2人が見つめる方向には、大きな観覧車があった。
ベンチから立ち上がり、人が少なくなったのをいいことに姫川は神崎の手を引いた。
神崎は振り払おうとしたが、今度はがっちりと捕まれていたのでため息をついて諦める。
意外と人はそれほど並んでいない。
すぐに順番がまわってきて、2人はゴンドラに乗りこんだ。
扉が閉められ、上へとあがっていく。
神崎は姫川の向かいに座り、窓の景色を眺めている。
夕日の光で金髪がキラキラと輝いていた。
その姿に姫川はしばし見惚れていると、神崎は視線をこちらにやり、「なに見てんだよ」と軽く睨む。
「キレイだ」
「は!? バカじゃねーの!? てめーが言うな!」
正直に言うと、神崎はわかりやすいほど顔を真っ赤にした。
姫川は思わず手を出しそうになるのを堪える。
「…オレが言うなって…、オレのことキレイだと思ってんの?」
「自覚しろよ。今日だって、てめーがその髪型で来るから、芸能人でもねぇのにヘンに目立つし…。その髪型の時は、2人きりの時に…、え…と…」
口を濁す神崎。
これは嫉妬だ、と気付いたからだ。
「……おまえホントなんなの」
「なにが?」
当然、いち早く気付いたのは姫川だ。
どうしてやろうか、と考えたとき、神崎が「なぁ…」と声をかけた。
「あの写真…、焼き増しとかできるのか?」
「え?」
「……いや…、せっかくだから今日の…記念? 思い出? なものがオレもほしいっつーか…」
最初に写真を嫌がっていたので頼みにくい。
「…ああ、いいよ。明日、渡してやる」
「……ニヤニヤしてんじゃねーよ。…え、なに…」
気がつけば、姫川の顔が目前に迫っていた。
そのまま、頬に手を当てられて口付けられる。
あとで神崎は、ここがてっぺんであることに気付いた。
「…ロマンチストめ」
「おまえと付き合ってからだよ、そんなオレが出てきたの」
「人のせいにすんな…。バーカ」
神崎が口を尖らせながらそう言うと、姫川はまた笑ってキスをした。
「なぁ…、また別の日にここに来ようぜ」
「……リーゼントで来るならな」
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