姪っ子が家出しました。
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玄関で二葉と姫川を出迎える因幡達。
玄関で降ろされた二葉はおそるおそる神崎を見上げ、なにか言おうと口を開いたが、
「バカヤロウ!! 危ねぇことすんなっ!!」
その前に神崎に怒鳴られ、二葉はビクッと震えてうつむき、目に涙を浮かべた。
「…っ」
神崎がしゃがむと、また怒鳴られるとぎゅっと目を瞑る。
すると、いきなり抱き寄せられ、目を丸くした。
「確かに…、最近ほったらかしにして、寂しい思いさせてたオレも悪かった…。おまえも、不満があったらガマンせずに口にしろ…。だから、心配させんな…。おまえになんかあったら……」
そこまで言うと、二葉は「ひぐっ」としゃくりあげ、神崎の背中に手をまわして服を握りしめた。
「はじめ゛ぇ~~~っ!!」
そこから先は糸が切れたかのように泣き出した。
叔父と姪なのに、まるで親子のような光景に思わずほっこりとしてしまう因幡達。
「―――それで、なんで来たんだ?」
因幡が小声で姫川に尋ねると、姫川は「はぁ?」と顔をしかめた。
「おまえケータイはどうした。“この間遊びに行ってやったとき、ゲームのソフト忘れた。あとで取りに行く”ってメールしただろ」
「あ…」
ケータイはずっと自分の部屋にあった。
ダイニングで至福の2度寝をしていたうえに、あとはずっと二葉が立てこもっていたのだ。
見れるわけがない。
「二葉、あとで心配させた親父達にも謝っとけよ…。因幡、迷惑かけたな」
「気にすんな」
「じゃあオレ達は…」
二葉を抱っこして帰ろうとしたとき、二葉は神崎の襟を引っ張り、泣き顔でこう言った。
「ドーナツ…ッ食べる…っ!!」
「たーんと食えっ!?」
食い意地に気圧された因幡はキッチンに行こうとし、姫川に「姫川も食ってけ」と誘った。
ダイニングに集合した6人は追加されたドーナツを食べ、気がつけばコハルと春樹と桜が帰ってくる時間まで入り浸っていた。
因幡と城山はそのまま家族にもドーナツを振る舞う。
事情を聞いたコハルは小さく笑い、「そういえば桃ちゃんもそんな籠城事件起こしたことあったわねー」と何気なく口にした。
「因幡ちゃんもあったの?」
夏目は興味津々だ。
当の本人は「え゛。覚えてないんだけど」と意外そうに驚いていた。
「あったわよー。3歳の時に、私が仕事であまり相手してもらえなかったからって、仕事部屋に閉じこもって困らせてくれたものよ…」
当時はアシスタント達と協力して、なんとか部屋から出すことに成功したらしい。
その作戦が、“押してダメなら引いてみろ”作戦だった。
コハルが突然倒れたと騒ぐと、因幡が酷く動揺した様子で出てきたところを捕獲したらしい。
「あの時は、自分自身の反省になったし…、ちゃんと叱れなかったけどね…」
コハルは懐かしそうに言って困ったように笑った。
「……………;」
今回の二葉を部屋から誘き出した作戦は、因幡が発案したものだった。
複雑な気持ちになる因幡と、それを聞いて腹を抱えて笑う神崎、姫川、夏目。
「Zz…」
二葉は、口の周りにドーナツのカスをつけたまま、ソファーに腰掛けている神崎の膝の上で寝息を立てて眠っていた。
小さな、嵐のような少女に振り回された、そんな一日。
.END