姪っ子が家出しました。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ぽかぽかとした陽気な昼下がり。
家族は全員出かけていて、因幡はひとり、ダイニングのソファーに寝転び、小さな寝息を立てながら昼寝をしていた。
仰向けになった因幡の胸元には、読みかけのまま開かれ伏せられたジャンプがある。
ベランダの窓から差し込む光がまた少し傾いたころに、ピンポーン、とインターフォンが鳴らされ、ダイニングに響き渡った。
ピンポーン、ピンポーン、と数回続いた時に、因幡は「んぁ?」と目を覚ました。
宅配便だろうか。
居留守を使ってやろうかと思ったが、コハルに、宅配便が来たら出てくれと頼まれていたことを思い出し、やれやれとソファーから降り、ジャンプを閉じてソファーの上に置いてから玄関へと向かった。
未だにインターフォンは鳴らされている。
「はいはい出ますよー…。ん?」
玄関のドアを半分まで開けた因幡は、目の前に誰もおらず怪訝な顔をした。
「桃!」
名前を呼ばれ、視線を落とすと、そこには見知った幼女がこちらを見上げていた。
「二葉ちゃん…?」
神崎の姪の二葉だ。
二葉は「よっ」と手をあげる。
「遊びに来てやったぞ!」
「遊びに来たって…」
二葉の向こうを見るが、神崎の姿が見えない。
「…神崎は? もしかして…、ひとりで来たのか?」
しゃがんで目線を合わせて尋ねると、二葉は「えっへん」と威張る。
「そうだ。スゲーだろ!? 一なんかいなくてもひとりで来れるんだっ」
「スゲーけど…」
あれ、もしかして神崎となにかあったのか、と気にしたとき、二葉は因幡の横を急ぎ足で通過し、勝手に家に上がり込んだ。
「ジャマするぜーっ!」
「あ、コラ!」
「遊べーっ!!」
「おぐっ!!」
慌てて追いかけた因幡に、振り返った二葉は因幡の腹にロケット頭突きを食らわせた。
両手で腹を抱える因幡の背中にのった二葉は、遊べ遊べとせがみ続ける。
「わかった。わかったから…っ」
せっかくの一人きりの休日を、小さな幼女に破壊されてしまう。
*****
それから1時間後、因幡のケータイに一件の着信が入った。
ふらふらとダイニングのテーブルに置いたケータイに手を伸ばし、通話ボタンを押す。
着信の相手は、神崎だった。
“因幡、二葉が家出しちまってよー。今、ウチの家のモンと、夏目と城山で捜索してるとこなんだが…、できれば探すの協力して…”
「おー、いるぜー」
“は!?”
まさか、一人で因幡の家まで行ったとは思わなかったのだろう。
近所でもなく、遊びに来たといっても、2・3度だけだ。
大した記憶力と行動力に因幡も驚かされてしまった。
「今…、ごはんくん抹殺ごっこやってるところだ。オレ、ごはんくん役な」
「うんこスプラーッシュ!!」
二葉が腕を構え光線を撃つフリをすると、因幡は棒読み気味に叫びながら床に倒れる。
「ぐは~っ」
「ふふっ。貴様はすでにうんこまみれだ…」
かれこれ45回ほど。
“今助けに行くからなっ!!?”
お食事中の方、大変失礼しました。
.