美味しいコーヒー、いかがですか?
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「神城夏姫様、おかえりでーす」
カウンターに移動した神崎達。
それを面白くなさげにカウンター越しにジト目で見る因幡。
「追い返そうとすんな。オレ達は客だぜ?」
そう言ってコーヒーカップに口をつける姫川を、因幡は睨みつける。
「帰れ暇人ども。面白半分で来るんじゃねえ。オレはバイトで忙しいんだ。お帰りください」
「まあまあそう冷たいこと言わないで。家に遊びに行ったら、コハルさんが、因幡ちゃんがバイトしてるって言うから…」
面白そうで来ちゃった、という顔をしたので、因幡はトレーを握りしめた。
(母さん…!! 余計なことを…っ!!)
「別にオレ達は嫌がらせをしに…、嫌がらせをしに来たわけじゃねーよ?」
しれっとした顔でイチゴタルトを頬張る神崎。
「どうして途中でつまった!?」
「いいじゃねえか桃姉。神崎さん達がわざわざ来てくれたんだから…。神崎さん、ココアどうぞ」
「おう」
犬の尻尾を振っているように見える春樹に、因幡は肩を落とした。
「すっかり懐柔されてんじゃねえよ、春樹」
「ここ、親父さんの友人の店だそうだな?」
コハルから聞いたのか、城山はモンブランを一口食べてから尋ねた。
「…そう。人手が足りてねえんだと…」
個人経営の店だが、最近の雑誌に掲載されるほどの人気店である。
予想以上の繁盛に、急ぎ足でアルバイトを急募したのだが間に合わず、マスターは友人の日向に頼んで、因幡姉弟をよこしたのだった。
もっとも混んでくる3連休の間だけの約束だ。
マスターはキッチンでデザートを作り、桜はカウンターでコーヒーを淹れ、因幡と春樹はウェイターとなって注文をとる。
時給は800円。
貯めた金で因幡はゲームを購入する予定だ。
「…中学生の春樹が働いてることは内緒な?」
小声でそう言って自分の口に人差し指を当てる。
本当は因幡と桜の2人だけ来る予定だったのだが、自分も小遣い稼ぎがしたいという春樹のわがままで働かせてもらっているのだ。
「わかった」と頷く城山。
「「「―――で、どうしてメイドじゃねーの???」」」
「転がすぞ」
声をそろえた神崎と姫川と夏目の頭を、そろそろ持っているトレーで撲りつけようとした。
「すみませーん」
「! はい!」
呼ばれてすぐに仕事にモードに切り替え、因幡はメモを持って注文をとりにいく。
ゆっくりと話している時間はなかった。
カウンターに戻ろうとすると、また次の客に呼ばれてそちらに足を向ける。
神崎達はそれを遠目で眺めていた。
「忙しそうだね…」と夏目。
「ウエイターが2人でも足りてないんじゃ…」と城山。
「注文追いつくのかよ」と神崎。
「冷やかしに来てやったのに面白くねえな」と姫川。
「じゃあ、手伝ってみる?」
桜の隣で、カウンターから少し身を乗り出したマスターがそう言った。
「「「「?」」」」
4人はそろって首を傾げる。
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