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それは日課としている夜の散歩の途中だった。
コンビニに寄った帰り、因幡は向かい側の歩道で見知った2人を見つけた。
男鹿と古市だ。
現在は午後8時。
そんな時間まで一体どこにいたのか。
「よー」
車道を渡って2人に近づいて声をかけると、2人は立ち止まってこちらを見た。
「あ、因幡先輩」
「なんだおまえら、こんな遅くに…。デート?」
「デートって、男鹿じゃなくて女子と行きますよ!」
「行ってくれる女子は?」
「ぐ…っ、いませんけど…」
悔しげに唸るように言って半泣きになる古市。
「ボウリングだ、ボウリング。たまに行きたくなるからな」
そう言ったのは男鹿だ。
「ボウリング…」
「この近くにあるんですよ、石矢魔ボウル」
キョトンとする因幡に古市が説明した。
それでも因幡は表情を変えない。
「……ボウリングってなにか知ってるか?」
不意に尋ねる男鹿に、はっとした因幡は「し、知ってるぜ」と言い返す。
「あれだろ? 丸いのが連なってついてるドーナツのことだろ? なんだ? ミセスドーナツでも食ってきたのか?」
「それはポ○デリング!!」
古市がつっこんだ。
男鹿は「ポン…ッ」と天然の返しにあからさまに笑いを堪えている。
それを見て羞恥と怒りを覚える因幡。
「ボウリング知らなくてなにが悪いんだよっ!!」
「いやぁ? 別に? 知らなくても死にゃしねえけどよ…ププッ(笑)」
「いつまでもネタ引きずってんじゃねえよ! 転がすぞ男鹿ッ!」
「とりあえず、ボール転がすところです」
古市が簡潔に説明するが、それでも因幡は首を傾げる。
「………サッカー?」
「ブーッ(笑)」
「男鹿ぁっっ!!!」
電柱にもたれかかって噴き出す男鹿。
肩に乗っているベル坊にまで笑われる始末だ。
因幡は歯軋りをしながら今にも蹴りかかりたい衝動に駆られるが、古市に羽交い締めにされて止められる。
「とりあえず、あれだ、因幡…」
笑って涙目になりながら、男鹿はポンと因幡の肩を叩いた。
「ググれ、カス(笑)」
プ、と笑いを残され、男鹿と古市は因幡をひとりそこに残して去る。
真っ白な銅像と化した因幡は2人の背中が見えなくなったあとも、ただ茫然とその場に立ちつくしていた。
次の日、学校に登校した因幡は、兄代わりと言っていいくらいの2人に泣きついた。
「オレをボウリング場に連れてって!」
「「………は?」」
ゲーム対戦中の、神崎と姫川だ。
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