不思議の国の。
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神崎ウサギと帽子屋姫川を先頭についていくと、因幡達は双子(ハンプティ・ダンプティ)に出くわした。
「…まあこいつらだろうな」
真田兄弟だ。
首にはあの首輪が見当たった。
「よう。芋虫のヤロー、どこに繭作ったか知ってるか?」
「すぐそこだ」
「作ったのつい最近だから、まだ変態してないと思うぜ」
兄に続き、弟が言った。
「変態=形態を変えることだからな?」
「わ、わかってるっつーの!」
いきなり帽子屋姫川が説明してきたので、ギクリとしながらも因幡は言い返した。
真田兄弟と別れ、歩いてすぐにその繭は見つかった。
巨大な赤いキノコの笠下にそれはあった。
「……デカくね?」
見上げると、ひときわ大きな白い繭。
芋虫はその中らしい。
「おーい、芋虫―――!!」
神崎ウサギが繭に呼びかけてみるが、返事はない。
「寝てるのか? あ、ちょうどいいところに」
帽子屋姫川は通りかかった梯子トカゲ・東条に声をかけた。
「ちょっとその梯子貸してくれねーか?」
「いいぜー」
「あ。あいつは首輪してねーんだな」
女王に目をつけられなかったのだろう。
東条トカゲは渋ることなくあっさりと梯子を貸し、受け取った帽子屋姫川は繭にかけて先に上がっていく。
「お邪魔しま…げほげほっ!」
繭の入口を開けると中のタバコの煙が外へと出され、それを顔に浴びてしまった帽子屋姫川は噎せた。
「おいおい落ちるなよっ!?」
神崎ウサギは心配して声をかける。
帽子屋姫川に続いて因幡も中に足を踏み入れる。
「クソったれ。なんだよ羽化の準備で忙しいって時に…」
そこにいたのは、芋虫の触角を生やした芋虫・早乙女だ。
繭の中は、タバコの吸い殻、ビールの空き缶、その他雑誌が散乱していた。
「あきらか散らかしてんだろうがっ!!」と因幡。
「タバコ臭ぇっ!! 換気しろっ!!」と帽子屋姫川。
「このダメ中年が!!」と神崎ウサギ。
3人は横一列に並び、指をさしてつっこむ。
「元気だなー。けっこうけっこう。―――で、オレになんの用だ? つまんねー用なら繭から落とすからな」
早乙女芋虫はタバコの箱から1本取り出し、口に咥えて火をつけ吸いだした。
「この国の女王の居場所教えてもらいにきた」
因幡が言いだすと、早乙女は遠い目をした。
「……女王…;」
関わりたくなさそうだ。
「……嫌そうだな」
「そりゃそうだろ。オレがなんで繭の中に引きこもってるか知ってるか」
「引きこもってること認めたぞ」
神崎ウサギがつっこむ。
「…今更だけど、女王ってどんなやつ?」
因幡が問うと、早乙女はどこからかポスターを取り出し、見せつけた。
扇子を口元に当てて笑みを浮かべている、白髪の美人。
コハルだ。
「オレやっぱり末永くここで暮らすことにするわ」
「「待て待て待てぃっ!!」」
あっさりと帰ることを諦めて出て行こうとする因幡を2人が止める。
「急にどうした!?」
「嫌だー!! オレも関わりたくねーよぉー!!(泣)」
泣き出すほどだ。
まさか自分の母親そっくりの人間が黒幕の女王だ。
勝てるわけがないと諦めるのも無理はない。
「そうだ、関わらねえほうがいいぞ。…まあ、関わりたくても「鍵」に会わなければ関われねえけどな」
「鍵?」
神崎ウサギが首を傾げると、早乙女芋虫は「鍵」の名を口にした。
*****
「出て来いっ!! てめえ、やっぱりオレのことおちょくってたのかぁっ!!?」
元の道を、神崎ウサギと帽子屋姫川とともに戻った因幡は、森に向かって怒鳴った。
「バレちゃった?」
木の後ろから現れた夏目ネコ。
早乙女芋虫が口にした名は、「チェシャネコ」だった。
「帰るには茶会に参加しろって言ったくせに…」
「参加して、芋虫と会って、オレのところに来たじゃん」
「よーし、わかった。ブッ転がす!!」
「まあ落ち着こうぜ」
帽子屋姫川は帽子をとり、中から淹れたての紅茶の入ったカップを取り出し、因幡に渡した。
「手品…?」
疑問に思いながらも因幡はストレートティーを啜った。
「簡単にたどりついたら面白くないでしょ? 仲間もできたことだし」
夏目ネコはそう言って、首輪をあっさり外した。
「え!? てめーも女王に首輪かけられてたんじゃ…」
神崎は驚いて声を上げたが、夏目は両手を合わせて軽く謝るポーズをする。
「これ鍵だったんだよ。ごめんねー」
夏目ネコは鎖を宙に振り、その先端は突然空中に開かれた空間の中に入った。
「ではでは、女王陛下のお城へごあんなーい」
「ちょっと待て。まだ心の準備が…」
「いいからいいから」
夏目ネコは因幡の右手をつかみ、「2人もオレにつかまってー」と帽子屋姫川と神崎ウサギに声をかけると、2人は渋々夏目の肩につかまった。
「な!!?」
すると、空間のあちら側から鎖が勢いよく引っ張られ、左手で首輪を持っていた夏目ごと3人は中へと引っ張られた。
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