ギャンブラーの一夜。
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その夜、姫川は4人を連れてとある場所へと向かった。
途中でリムジンを降り、横道に入る。
「おい、どこに…」
「もうすぐ着く」
神崎の言葉を遮り、姫川は先頭を行く。
因幡はそわそわと落ち着きがない。
なぜなら先程、全員、リムジンで強制的に着替えさせられたからだ。
「…いつまでもこのカッコで外うろつきたくねーんだけど…」
姫川(ノットリーゼント)は黒のカジュアルスーツ、夏目は白のカジュアルスーツ、神崎と城山は着物、そして因幡は青のショートドレスだ。
どれも姫川が貸した高級品である。
「なんでオレはドレス!? スーツ貸せよ! この外見ホスト!」
「それしかなかったんだ。しょうがねえだろ。大体、これからおまえらはオレのために稼がなきゃいけない。…文句は?」
肩越しに振り返って言う姫川に、因幡は「ぐ」と唸った。
それしかなかったなんて嘘だ。
顔が楽しげなのが証拠だ。
だが姫川の言うとおり文句は言えない。
皿の弁償代は3千万。
高校生が1日で払える金額ではない。
「…ちなみに姫川、オレ達にどうやって稼がせるつもりだ? まさか、体で払わせるとか言わねーよな?」
神崎は4人の代表として挙手し、不安げに尋ねる。
姫川は、フ、と笑い、「体って?」とわざとらしく聞き返した。
「そ…、それは、ほら、アレだ。ホストみたいに媚売ったり…」
恥ずかしいのか、神崎は若干恥ずかしげに答える。
「1日で3千万稼ぐホストクラブなんてあるわけねーだろ」
「じゃあこれからどこ連れていくつもりだよ!」
小馬鹿にするような姫川の返しに、神崎は苛立ち混じりに尋ねた。
すると、姫川は立ち止まり、「ここだ」と店を見る。
一見ただのバーに見える。
その隣には地下へと続く階段があり、その階段の前の看板には、“ライブハウス↓”とピンクのチョークで大きく書かれていた。
姫川は階段をおり、他の4人もそれに続く。
「表向きはただのライブハウスだが、週末になるとここは…」
扉の前に着いた姫川は、ドアを開けて言葉を続ける。
「カジノになる」
目の前に広がるのは、テレビなどで見たことのあるカジノの光景だ。
ラスベガスのカジノほど広くないが、内装はそれと酷似している。
中はゲームセンターより静かで、みな、それぞれのゲームに集中している。
姫川たちに振り返った客はわずかだ。
数もそれなりで、朝から来ている客もいた。
「カジノ…!?」
城山が声を上げる。
「高校生のオレ達に運で稼がせようってわけ? 悪い奴だねー。こんなところに通ってると、いつか警察に捕まるよ、姫ちゃん」
夏目は中を見回しながら言った。
「…オレは今日初めて来た」
「は!?」
神崎は思わず声を上げた。
見ると、連れてきた本人も部屋の中を物珍しげに見回しているではないか。
「知人に頼まれごとされてな。てめーらを連れてきたのは…、それに協力してほしいからだ。うまくいけば、皿の弁償は帳消し。てめーらの稼ぎ口はそっちだ」
それを聞いた因幡は姫川の目的が見え、肩を落とす。
「だったら素直にそう言えよ。……まさか、皿割れたのは、おまえが仕組んだからじゃねーだろうな? 姫川」
「………人のせいにすんじゃねーよ」
軽く睨んで尋ねる因幡に、姫川は背を向けたまま、ただそう答えた。
因幡は意味ありげにつり上がった姫川の口端を見逃さなかった。
「―――で、頼みごとって?」
神崎は腕を組んで尋ね、姫川は口を開いた。
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