ゲーセンに行きました。
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「オレ15倒したぞ!」
最初にオレがそう言ったのがある意味敗因となった。
神崎は「オレ16ー」、姫川は「オレもー」と答えやがった。
当然オレは「ふざけんじゃねー」と怒った。
自分が倒した数しか数えてなかったけど、明らかにそいつらが口にした数を足しても多すぎる。
「きたねーぞてめーらぁっ!」
オレはそいつらも転がしたかったが、城山に羽交い締めされて止められてしまった。
「そう怒るな因幡。…最後にもうひと勝負くらいしてやるからよ」
姫川はそう言った。
クソ、どんなゲームでも絶対勝てるっていう余裕な顔だ。
もうオレが勝負できそうなゲームはないかも。
そう思った時だ。
オレの目にあるものが入った。
「…プリクラ」
「「は?」」
それは予想外だったのだろう、姫川と神崎が目を見開いた。
「……プリクラで…勝負」
勝負の内容は、芸術性だ。
プリクラって、撮ったあと自分の好きなようにラクガキできるらしいからな。
誰のプリクラが一番芸術的かを競う。
判定は夏目。
城山じゃ、絶対神崎を勝たせてしまう。
「で? 芸術性って具体的には?」
夏目に問われ、オレはどや顔で返す。
「どのプリクラが一番バカップルに見えるかだ!! このゲーセンにある全部のプリクラ使って!!」
「「……………」」
神崎と姫川は言葉を失った。
夏目は背を向けて笑いを堪えていた。
1時間後。
夏目は撮ってきたプリクラを何度も見比べる。
何度も噴き出したあと、判定が決まった。
夏目はオレのもとにやってきて、オレの右手首をつかんで上にあげた。
「勝者、因幡ちゃーん」
「よっしゃー!」
オレはガッツポーズをとる。
2人はプリクラに生気でも吸われたようにげっそりとしていて、言葉を出す気力もない様子だ。
「勝てるわけねーだろ…」
神崎が呟いた。
オレ、神崎、姫川での対戦だ。
オレが絵を描く場合は、神崎と姫川がカップルとなる。
1センチ以上離れるのは禁止というのが条件だ。あとは不機嫌な顔だろうがこちらが既成事実をつくってしまえばいい。
母親譲りのオレの妄想テクをナメるなよ。
「すごいねー。神崎君明らかに不機嫌そうなのに、チーク機能で頬染めてるから恥ずかしがってるように見えるし…。あと、「繋いだおててが見切れてるーっ(泣)↓」文字も最高(笑)」
夏目に褒められ、オレは勝ち誇った顔をしたあと、プリクラを返してもらう。
「あー。満足満足」
「ちょっと待て。さりげなくポケットにしまったソレをどうする気だ?」
姫川に気付かれてしまった。
「ん? 持って帰って適当なところに貼るけど? プリクラだし」
「「悪質だ!!」」
2人は同時につっこんだ。
「あ、因幡ちゃん、オレも数枚ちょうだい」
「大事に扱えよ?」
「渡すな!! 流出したらどうしてくれんだ!!」と姫川。
「絶対扱うな!!」と神崎。
最後に2人に勝利して満足感を得たオレだったが、ゲーセンを出たあと、電車賃がまったく足りないことに気付き、途方にくれるハメになってしまう。
.END