ゲーセンに行きました。
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ガンッ、とオレは画面に額を打ちつけた。
そのまま青文字で表示された“YOU LOSE”が砕けてしまえばよかったのに。
完敗っつうか、惨敗。
一番強そうなキャラでやって、一番弱そうなキャラに負けるなんて。
「姫川!! もっかい!!」
向かい側の姫川はうつむいていた。
「これで10回目だぞ」
金の方は余裕があるようだが、そろそろ解放されたいようだ。
傍観している神崎達も、見ているのが疲れてきた様子。
「ラストチャンス!!」
「これで本当に終わりだからな?」
姫川とオレは金を投入し、最後の戦いに挑む。
「ブッ転がす…!!」
結果、オレの負け。
惨敗、という単語がオレの頭を押さえつける。
燃え尽きたよ…、真っ白にな。
夏目は同情なのか、オレの肩に手を置く。
はっとしたオレはそれを軽く払い、席から立ち上がった。
「姫川の得意分野で勝負するのが根本的に間違ってんだ。…次、アレで勝負!」
オレが指さしたのは、カーゲームだ。店内で4人対戦ができる。
アレなら一度やったことがあるから格闘ゲームのような悲惨なことにはならないだろう。
神崎は姫川と目を合わせ、頷く。
同じく姫川も頷き返し、席を立ってカーゲームのもとへ行った。
「ゲーセン初心者に、ゲームの厳しさを教えてやらないとな、神崎」
「同感だぜ、姫川」
「あ…、あれ?」
2人ともさっきまで殺気立って格ゲーしてたのに、今では仲良く邪悪な笑みを浮かべている。
のこのこと自分の縄張りに入り込んできた獲物を狙う眼差しだ。
カーゲームの対戦は、オレ、姫川、神崎、城山だ。
始まって早々、後方にいたはずの神崎と姫川はオレの車を追い抜き、猛スピードで走り去ってしまう。
こいつらカーゲームでも上級者だ。
オレもアクセルを踏み込んで追いつこうとしたが、城山がそれを邪魔した。
いや、邪魔する気はさらさらなかったようだ。
なぜなら、オレの隣でパニックを起こしているからだ。
「うわっ、因幡にぶつかった!」
「てめぇ、当たってくんじゃねえ! 城山!!」
神崎が城山を対戦に加えた理由が今判明した。
オレの邪魔をするためだ。
その証拠に、「おいおいなにチンタラやってんだ。もう追いついちまったぞ」と口元がニヤニヤしている。
同じく姫川も。
悪辣。
その言葉がぴったりだ。
城山は未だにどかない。
壁際にオレを押し付けて走っている。
「「あ!!」」
オレと城山が叫んだのは同時だ。
オレ達はそのまま魔のカーブの崖から落下してしまい、ゲームオーバーとなってしまった。
「し…、死神…」
城山はゲームに関してはオレよりもド素人。
故に、その一歩手前にいるオレにとっては、ゲームオーバーに引き摺りこむ死神に見えた。
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