ゲーセンに行きました。
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放課後。
オレ、神崎、城山、夏目、姫川は、街中にあるゲームセンターに来ていた。
足を踏み込んだ瞬間に耳に響き渡る騒音、タバコの匂い、機械の前で躍起になっている人間。
肩を並べる神崎と姫川を先頭に、オレ達は階段を上がって真っ直ぐビデオゲームコーナーへと向かった。
その間、なにも語らず、空気もどこか重い。
格闘ゲームの対戦台の前に到着すると、神崎はオレから見て右の、姫川はその向かいの左の席に座り、2人はサイフから100円を出して構えた。
へぇ、姫川、100円なんて持ってたのか。
常に札しかもってないイメージがあった。
「姫川、今日こそ決着つけてやるぜ。この間のようにいくと思うなよ。負けたらヨーグルッチ。わかってんだろーな」
「とことん懲りない奴だな、神崎。ヨーグルッチなんざどうでもいい。また打ちのめして泣かせてやる」
「誰がいつ泣いたよ!!?」
レディー、ファイト!
2人は同時に金を投入し、対戦を始めた。
オレ達がここに来たのは、昼休みの雑談中、姫川が以前神崎とゲーセンで対戦して勝利したことを自慢したのがきっかけだ。
そのあと、神崎は汚名返上のため「リベンジだ!!」とムキになって、今に至る。
授業中の間、イメージトレーニングなのか、神崎の指が忙しなかったことも思いだす。
「神崎さん! 応援してますよ!」
城山は当然神崎の応援をしている。
「……おまえらってホント、勝負事好きだよな」
デジタル決闘中の2人を見て呆れた。
「…因幡ちゃん、気分悪そうだけど、大丈夫?」
同じく傍観していた夏目に声をかけられ、そんなに露骨に出ていたのかと考える。
「…ゲーセンなんて、あまり好んで行かなかったからな。…どーも空気に馴染めない。この騒音も頭に響くし」
「よっしゃー!!」
その時、勝利した神崎が両手のコブシを突きあげた。
神崎の対戦台を窺うと、画面には“YOU WIN”と赤文字で表示されていた。
姫川は口元に不敵な笑みを浮かべ、指先でサングラスを上げて次の100円を投入する。
「フン、腕上げたじゃねーか。2回目はそうはいかねーけどな」
「おう! ……因幡! おまえもやってみるか?」
「は?」
突然神崎がそう言いだして席を立ち、オレの背中を押した。
「これで気分紛らわせればいいだろ」
あんなに熱心になって戦ってたくせに、夏目との会話が聞こえたようだ。
姫川もそうなのか、対戦相手が変わっても、「早く金入れろよ」と言った。
「オレ、これやったことないんだけど。操作どうするんだよ」
「この神崎さんが教えてやるから、言う通りにやってみな」
渋々、オレは自分のサイフから100円を取り出して投入する。
ボタンを押すたびにハデな音がなった。
見た目が強そうなキャラを選び、対戦を開始する。
「初心者なら手加減してやるよ」
姫川の上から目線の言葉にカチンときたオレは、画面に映る姫川の格闘キャラを睨む。
「いや、最初から全力で来い!」
レディー、ファイト!
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