夜の平和を守ります。
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「これがホントのグッナーイ! 葵ちゃ…」
ゴッ!
2人のあとをつけている途中で、前触れもなく下川が出現し、邦枝が潰す前にオレが背中を蹴飛ばし踏みつけた。
隠れていたトラックの後ろから顔を出して神崎達を確認する。
よかった、気付かれていないようだ。
遠くから、「さっき下川の声聞こえなかったか?」と神崎が言って、「あ?「グッナイ☆」ってか?」と返したのが聞こえた。
「尾行中に声かけてくんじゃねーよ」
「ん? なに?」
下川はオレに踏みつけられたまま、こちらを見上げて首を傾げた。
事情を説明したら、好奇心が移ったのか下川までついてくることに。
あまりうざく絡んでこないのを条件に、邦枝が同行を許可した。
「MK5推参ぐはぁっ!!」
その途中でまたしても知り合いが登場したので、オレは飛び蹴りをお見舞いし、向かいの路地まで吹っ飛ばした。
2人はこちらを振り返ったようだが、オレ達の存在に気付かない。
「もう8時はとっくに過ぎてんだよ! なんなんだてめえらさっきから前触れも意味もなく登場しやがってっ!」
逆切れるオレ。
そしてまたしても人数が増えて2人を尾行することに、っていうかなにこの集団尾行。
警察に通報されてしまいそうだ。
オレ、夏目、城山、邦枝、大森、谷村、男鹿、ベル坊、古市、下川、MK5。
おいおい、15人て(笑)
このままだと石矢魔メンツコンプリートしそうだ。
嫌な予感は的中するもんだ。
そのあとも阿倍、真田兄弟まで出くわしてしまうのだから。
トドメが、
「おう、おまえらなにやってんだ? 喧嘩か?」
他校の不良達を絶賛フルボッコ中の東条達に会ってしまった。
(コンプリートしちゃったよ…)
もうつっこむ気も失せた。
合わせて21人。
いくらなんでも、こんな大人数に尾行されているとは思わないだろう。
いったいあの2人、どこ向かってるのだろうか。
もし向かってる先が姫川の家だったらどうするんだ。
オレはともかくみんなの反応が気になる。
ところがだ。
それを上回る場所に来てしまった。
その、あれだ、いかがわしいホテル街。
神崎と姫川は一度立ち止まる。
「…本当に、いいんだな?」
神崎は頷いた。
「ああ。…ここで引き下がってたまるかよ。…行くぞ、姫川」
そのままホテル街を進む2人。
オレ達は言葉も出なかった。
全員つれてきたのがまずかったな。
ばっちり目撃しちゃったよ。
「「「「ええええええ」」」」
なるべく声を潜ませて叫んだ。
「あいつらまさか…!」と男鹿。
「なに!? 2人ってそういう仲!?」と大森。
「か、かかか、神崎さん…ッ!」と城山。
「オレ達明日から先輩達にどう接すればいいんだ!?」と古市。
激しく動揺している。
誰もが「どうしてついてきてしまったんだ」と後悔している奴もいた。
「落ち着け! まだそうと決まったわけじゃねえだろ!」
「そうだけど、因幡ちゃん。キミだけそうと決まってほしそうな目をしているように見えるのはオレだけ?」
夏目が言うには眩しいほど輝いていたそうだ。
そうであってほしいが決め付けはよくない。
尾行を続けよう。
確定するのは、それらしいホテルに入ってからだ。
本音を言えばその現場を写メりたいだけ。
さすがに21人そろってホテル街に入ると嫌でも目立つ。
カップルが恥ずかしがって避けるほどだ。
オレ達、なんの集団に見えるのだろうか。
神崎と姫川が建物の中に入った。
まずいまずいまずいまずい。
“ホテル スウィートミルク”って明らかにそっち系のホテル!!
あまりにもガチなホテルに誰もがドン引きだ。
母さんではないがオレは吐血しかけた。
城山はすでに気絶しているし、葵は真っ赤な顔でそわそわと落ち着きがないし、男鹿はやはりお父さんなのかベル坊の両目を塞いでいる。
どうする。
全員で話し合って今日のことを見なかったことにするべきか。
すると、夏目がいきなりオレの肩をつかんでそのまま出入口に向かう。
「え゛。なになになに!?」
中に踏み込み、オレは違和感を覚えた。
カウンターには誰もいない。
それどこか電気さえついていないし、手入れされていない壁や床は染みや埃が積もっていた。
「…営業…してないのか?」
そこではっとした。
「お金とられない絶好の穴場…!!」
「あのね、あの姫ちゃんが金渋るわけないじゃん」
確かに。
オレは一度出入口から顔を出して全員を呼んだ。
階段は機材で塞がれてるし、エレベーターも動かない。
2人はどこに行ってしまったのか。
すると、カウンターの奥のカーテンが気になった。
そこから話し声が聞こえる。
「まさかオレ達のアジトを突き止めてくるなんてなぁ。東邦神姫の、神崎、姫川」
カウンターを飛び越え、カーテンからそっと中を窺うと、あの2人は他校の不良達に囲まれていた。
その奥の席でエラそうに座っているゴツい男がリーダーだろう。
「てめーらのことは全部お見通しなんだよ。クソギャング共が」と神崎。
「石矢魔の縄張りに勝手に入ってきてんじゃねーよ。こっちは覚えのねえ濡れ衣きせられて迷惑してんだ」と姫川。
「ククク。それで、オレ達を追っ払いにきたのか? たった2人で? いくらなんでもおまえらじゃオレ達は止められねえよ。こっちは何人いると思ってんだ」
見る限り30人ほどか。
姫川はスタンバトンを取り出し、神崎は足の爪先を軽く叩いた。
「この神崎さんに何人いようが関係ねえよボケ」
「クイーンだって動き始めたんだ。オレ達も動きださなくてどうするよ」
リーダーは嘲笑し、ポケットからなにかを取り出して口に咥えた。
「ククッ。勇ましいねえ。実力の差ってやつを見せつけてやるよ。オレ達最強ギャング・バッドキャンディーズがな」
オレの…アメ…。
よく見たらリーダーの後ろに積まれている。
「全部買占めやがったのはてめえらかあああっ!!!」
ゴッ!!
オレはカーテンを開け、そいつの顔に怒りのドロップキックを食らわせた。
あ、アメを食べてる途中で顔面ドロップキックなんて食らわせちゃ、ダメだからな。
「「「「リ―――ダ―――!!!」」」」
「あ? 因幡?」
「男鹿達まで引きつれてきたぞ」
カーテンが全開されたため、こちらを窺う男鹿達に気付く姫川。
それを見てギャング達が慌てだす。
「おい! あのアバレオーガが来てるぞ!」
「レッドテイルもだ!!」
「石矢魔のクイーン…」
「しかもリーダーを蹴飛ばしたあいつ、冷酷兎の因幡じゃ…!!」
「東邦神姫の東条まで!!」
まさかの石矢魔の面々に浮足立つギャング達。
予想外の展開に、神崎と姫川は顔を見合わせる。
「とりあえず…」
「だな…」
その先を、オレと男鹿が続ける。
「ブッ飛(転)ばす!!」
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