男を返してください。
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翌日、昨日のことは小さな記事になった。
“不良VS不良! 乱闘の末、歩道橋破壊!?”
教室で新聞を広げ、因幡は、姫川、夏目、城山と一緒に昨日のことを思い出して話す。
「…もったいなかったな…。絶対男鹿にも勝てるかもしれないって強さだったのに…」
記事を見つめながら因幡はため息をついた。
落ちたところに裂け目があったようで、因幡と神崎は元に戻った。
「桃矢が生まれたら、竜子ちゃんかはじめちゃんが生まれるからな」
男になるために仲間を犠牲にできるほど、因幡も冷酷ではなかった。
「姫ちゃん、すごく美人だったのに…。それもそれでもったいないよね。神崎君もかわいかったのに…」
「夏目、それ、神崎さんの前で言ったらブッ飛ばされるぞ」
噂をすればなんとやら、神崎が教室に入ってきた。
暗い顔だ。
「どうした神ざ…き…」
神崎の顔を見た姫川は言葉を失った。
同じく因幡達も。
神崎のアゴヒゲがなくなったままだ。
「オレの言いたいことはわかってるな? …ヒゲが生えなくなったんだよ」
言葉には怒りが含まれていた。
矛先は因幡だ。
「オレ別に生えてないけど…」
アゴを触る因幡を見ながら夏目が言う。
「生えにくい体質なのかも」
「おまえヒゲがないと童顔だな」
姫川は今の神崎を逆なでするようなことを言った。
「神崎さん、気になるなら書きましょうか?」
城山は真剣な面持ちで黒ペンを取り出した。
「書かねえよ! 因幡、あの歩道橋に付き合え!」
「え、でも壊しちまったし…」
「あの階段は残ってる! 今から行くぞ!」
「え――――」
嫌がる因幡を無視して神崎は因幡を肩に担いで教室から出て行く。
「元に戻るまで転がりまくるぞ因幡ー」「ヘルプミー」と廊下から聞こえた。
姫川達は追わずに出入口から2人を見送る。
「神崎君のヒゲって、べつになくてもいいんじゃない?」
「ポリシーじゃねーか? 気持ちはよくわかるぜ、神崎」
姫川はポケットから出したクシで自分のポリシーを整えた。
.END