男を返してください。
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男の子になれたら、と思ったことがありませんか。
ここにひとり、男の子に憧れる、男の子のナリをした女の子がいました。
「…ここ、空気悪ィな…」
因幡桃。
普段は因幡桃矢と名乗り、周りの者たちからは男だと思われている。
ただ、家族以外、あるグループにだけ女とバレていた。
神崎組と姫川だ。
学校へ行く途中、口の中にアメ玉を転がしながら歩道橋の上でその神崎達を待っていると、先に待ち合わせの予定になかった人物が現れた。
「あ、姫川」
「よう。行く途中、見えたもんだから…。飛び下りか?」
「オレがするように見えるか?」
「だよな。神崎待ち?」
「ああ。コンビニ寄ってくから待たされてる。一緒に待つ? どうせぼっちだろ」
「ぼっちって言うな」
そんなことを言い合っていると、コンビニから戻ってきた神崎達が歩道橋を上がってくるのが見えた。
「お、戻ってきた」
ちょうどアメ玉も舐め終わった。
「あ、姫ちゃんもいる」
「あいつ今日は車じゃねーのか」
そんなことを言いながら、因幡に歩み寄っていく。
神崎達が歩道橋の中心まで歩いてきたとき、姫川は踵を返して階段を下りようとした。
「おい姫川」
「小学生の登校じゃねえんだ。ひとりで行くって」
「そう言うなって」
因幡は1段目の階段を下りようとした姫川の前に回り込んで引き止める。
「恥ずかしがってんじゃねえよ」
「おまえはホントくっつけたがりだな。別に恥ずかしがってねえよ。何度も言ってんだろ。オレはひとりの方が…」
その時、突風が吹きぬけ、不意に姫川と因幡は目を閉じた。
髪は乱され、学ランはバタバタとはためき、わずかに体を押された因幡は誤って階段から足を踏み外してしまう。
「!!」
「因幡!!」
咄嗟に姫川は手を伸ばして因幡の右手首をつかんだが支えきれず、2人はそのまま一緒に階段から落ちてしまった。
途中、因幡はなにかよからぬ空気に包まれたのを感じた。
「おい! 大丈夫か!?」
2人が階段から落ちる光景を見た神崎達は急いで階段を駆け下り、一番下でうつ伏せになって倒れている2人に近づく。
「因幡ちゃん!」
「姫川!」
「きゅ…、救急車を…」
城山が辺りを見回して公衆電話を捜していると、「大丈夫だから…」と野太い声が聞こえた。
聞いたことのない声に、神崎達は辺りを見渡す。
「誰だ?」
「イタタ…」
今度は女の声だ。
それが聞こえた時には姫川と因幡は身を起こし、額を手で覆ったり、首の後ろを擦ったりしていた。
「つ…っ、おい、因幡、大丈夫か? ん?」
「ああ…。姫川こそ…、あれ?」
2人は自分と互いの声の違和感に気がついた。
因幡は喉をやられてしまったかと人差し指と中指を自分の喉に当ててみる。
すると、いつもはない凸があった。
「…んん?」
声から出ているのは、ハスキーボイスというより完全に男の声だ。
「おまえ、声がおかし…。!!?」
「うわっ、なんだその高い声!」
姫川の口から出た明らかな女の声に、脇にいた神崎は思わず仰け反った。
姫川自身も驚いて自分の口を両手で塞ぐ。
次の違和感を発見したのは夏目だ。
「あれ…? 2人とも座高っていうか、体格が…。ちょっと立ってみて」
「「?」」
2人は首を傾げ、立ってみた。
「「「「!!!」」」」
体格よりも先に全員の視線が姫川の胸に注目した。
ヒルダに匹敵するぐらいの大きな膨らみがある。
わずかに開けられた胸元からは谷間が見えていた。
姫川は大量の冷や汗をかき、自らの胸を触り、引っ張ってみるが取れない。
代わりに、手を離すと上下に揺れた。
「お…、おお…、Fか? Gか?」
「落ち着け姫川!!」
かなり動揺していることを察した神崎は声を上げる。
「ダメだ!! この画はダメだ!! 色々アウトだ!! ちょっと時間くださーい!!」
因幡は急いで姫川のポリシーを崩しにかかる。
しばらくお待ちください。
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