ラビット西遊記
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網から解放された因幡達が子ども達に案内されたのは、罠の位置からそれほど遠くない、小さな村―――怒武川村。
家もあれば畑もある。
家畜も飼われていた。
一見平穏な村に見えるが、違和感はすぐに感じた。
大人がひとりも見当たらないのだ。
それでも、子ども達は畑仕事や家事をしていた。
村を訪れた因幡達はあっという間に注目の的になる。
そして二葉に案内されたのは、村の奥にある村長の家―――二葉の家だ。
「このヨーグルッチ美味ぇなっ」
お近づきの印として神崎が出現させたヨーグルッチ。
二葉は大いに気に入り、他の子ども達も嬉しそうに飲んでいる。
「おいしーっ」
「甘ーいっ」
その好評ぶりに神崎は「そうだろそうだろ」と満足げな顔だ。
意外と面倒見のある神崎が子ども達に懐かれるのも時間はかからなかった。
居間で、何枚も重ねた座布団の上に座る二葉。
因幡達は胡坐をかいて座り、子ども達が作ったまんじゅうやおじやを御馳走になっていた。
「見たところ、大人がいねぇようだな。…なんかあったのか?」
疑問を口にした姫川に、3個目のヨーグルッチを飲む二葉の表情が曇る。
「……帝毛盗賊団に…連れて行かれた……」
その盗賊団の名を聞いた時から、まさかとは思っていた。
だからそれほど驚かなかった。
「村のみんなも…。じじいも…」
じじい、とは村長のことだ。
子ども達も、親が連れ去られたことを思い出したのか辛そうな顔をする。
「用が終わったら帰してやるって言われてからもう1ヶ月が経つ…。二葉達も、大人たちの真似事するのも限界があるし…」
幼い子どもだけで村で過ごすのはやはり無理があった。
大人だけしか知らないことはいくらでもあるのだ。
親離れしていない子どもも多い。
だが、助けを呼んだりすればどうなるかぐらいはわかっている。
だからこそ、今まで耐えてきた。
「……ガキ相手に大人げねぇ連中だぜ」
「オレの問題は後回しだ。メシの礼に、派手に暴れてやっても…」
「ダメだ!!」
立ち上がる神崎と因幡に、二葉が待ったをかけた。
「大人をひとりでも連れて行ったら、あいつら、何するかわかんねーんだ…。数も多いし…、てもとには人質が……っ」
軽率な行動をすれば、連れて行かれた大人がただで済むとは思えない。
全員無事に救出しなければ。
「……確かに、いきなり押しかけるのは得策じゃねーな」
同意するのは、冷静な考察力を持つ姫川だ。
「じゃあどうしろってんだよ…」
神崎が口を尖らせると、姫川の視線が因幡に移る。
「?」
「…相手を完全に油断させねーと…。なぁ、そいつらのアジトは知ってんのか?」
その問いに二葉は頷く。
「少しの間なら、親と会うのも許されてる…」
まるで獄中の囚人のような扱いだ。
それも頭に入れた姫川は作戦を立てる。
「よく聞け。まずは因幡…―――」
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