奴らがウチに来ました。
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数瞬間後、再び訪れた南東邦神姫が出来上がった写真集をわざわざ届けに来てくれた。
玄関で早速見せてもらい、出来の良い写真集だと称賛した。
編集は誰だろうか。
並びもいいし、コメントも面白い。
最後の、あの河原で撮った写真は最後のページに載せられていた。“協力してくださった因幡さんに感謝!! お2人に信頼されててうらやまっ☆”と書かれている。
めでたいことに、写真集は完売。
発売と同時にファンが大量に押し寄せ、哀場までもお買い上げしたそうだが、絶対邦枝目的だろう。
「よかったじゃねーか。これ、本当にタダでもらっていいのか?」
「どーぞどーぞ。協力してくれたんですから当然じゃないですかっ」
神谷も両手のひらを見せて言ってくれてることだし、ありがたくもらっておこう。
春樹と母さんに見せたあとは、明日学校に持って行ってあいつらにも見せてやらないとな。
明日の楽しみが増えたところで、邦彦が「あのー」とカメラを手に声をかけてきた。
「ん?」
「実は…、因幡さんのご活躍と写真の効果もあって…、ファンが増えたみたいで…」
「…は?」
いきなり何を言い出すんだ。
首を傾げると、南東邦神姫が頭を下げながら頼んできた。
「因幡さんの写真集も出してほしいということで!!」
「ぜひとも撮らせていただけないでしょうか!! 題して、“因幡桃矢の密着撮影”!!」
「喧嘩のシーン、登校シーン…」
「風呂上がりや半裸まで!! 24時間の因幡さんを!!」
「待て!!!」
それはかなりマズい。
オレが女だって露見してしまうではないか。
半裸とか風呂上がりとか冗談じゃない。
なのに、神谷達は詰め寄ってくる。
頭を下げながら詰め寄られると怖い。
「お願いします!!」
「ぜひとも!!」
「半裸を!!」
「色っぽさを!!」
「絶対ヤだかんな!!」
「頷いてくれるまで出て行きません!!」
あいつらもこんな頼み方されたのだろうか。
こうなったらブッ転がしてでも追い返すしかないと思った矢先、
「半裸やら、色っぽさ…聞き捨てならない単語が聞こえたと思えば…、何してんだクソガキども?」
玄関のドアを開けて入ってきたのは、釘バットを持った父さんが立っていた。
背後には阿修羅が見える。
オレはこの危機を乗り越えるべく、内心で合掌し、神谷達を指さしながらこう言ってやる。
「こいつらが、オレの色っぽい写真が撮りたいって」
「許さああああああああんっ!!!!」
我が家の最強セコムが発動し、オレは危機を脱することができた。
殺意を身に纏った父さんから必死に逃げる南東邦神姫を玄関先から見送るオレの胸には、しっかりと写真集を抱いていた。
.END