奴らがウチに来ました。
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指定された河原に到着すると、変わり果てた南東邦神姫の姿があった。
ロープで縛られた神谷と邦彦、スタンバトンの鞭で縛られた姫路と東山。
何をされたのか、体中ボロボロにされていた。
どっちも捕まるの早すぎだし。
そしてその背後には、どちらも鬼を携えた神崎と姫川が仁王立ちしていた。
オレは静かにその場に正座する。
上からのしかかる圧力に立っていられなかったからだ。
「その…、ごめんな?」
「「言いたいことはそれだけか?」」
これなら指さされて「こいつらに協力させられたって?」と笑われた方がまだマシだった。
オレは、余計なコト言いやがって、と神谷達を睨んだが、神谷達は「すみませんでした…っ」と泣きながら謝ってきた。
神谷と邦彦はセメントで固められそうになり、姫路と東山は高層ビルの屋上から逆さづりにされて吐かされた、と言う。
余程怖かったのだろう、まだ体がガクブル(ガクガクブルブル)していた。
「まさかおまえが一枚噛んでいたとはな」
「オレのアロハ新品だったんだぞ」
「クリーニングはオレが出すよ…。おまえらもなんだよ、写真くらいで…。別にいいだろ、撮らせてやっても。魂取られるわけでもねーんだし…」
座ったまま睨んで小さな反抗を見せると、神崎に「開き直るな」と叱咤されて唸る。
「オレらだって安かねーんだよ。写真一枚で何に利用されるかわかんねーんだぞ」
それを利用してきた姫川が言うのだから説得力がある。
「オレらは本当にただ写真集を作りたいだぴゃあああああっ!!!」
割り込もうとした姫路だったが、姫川が電撃のスイッチを入れたことによって東山とともに制裁されてしまう。
「姫路―――!! 東山―――っ!!」
邦彦は黒焦げの2人に叫ぶ。
鬼としか言いようのない。
「因幡、そんなお人好しだと足下すくわれるぞ」
「それで後悔するのはオレだし…。写真が嫌なら、なんでオレが撮るのはいいんだよ」
「「信用してるから」」
2人が同時に声を揃えて直球に言うものだから、「え」と固まってしまう。
途端に顔に一斉に熱が集まった。
「な…、なんでそういうことストレートに言うんだよ…っ」
「てめーが聞いてきたからだろうが」
「大体、おまえのような不器用なのがどうやって写真一枚で人利用するんだよ。逆に聞きたいくらいだぜ。今回だって見事に失敗してるじゃねーか。黒幕向きじゃねーな、ホント」
グサッ、グサッ、グサッ、と姫川の悪気のなさそうな言葉が矢のように体に突き刺さった。
その場に倒れそうになるのを堪え、オレは「じゃあ…」と切り出す。
「オレを信用してるなら、そいつらを解放してやれよ。写真も見逃してやってくれねーか?」
「おまえ…」
神崎がまた説教しようとしたところでオレは遮るように早口で喋った。
「やり方はキモいが、そいつらは本当に純粋におまえらの写真が欲しかっただけなんだって。おまえらを撮ってた時だってすごく嬉しそうだったし、普段から写真撮ってるオレにはわかる…。なんとなく…。サインも握手もしてやれねーなら、せめて写真くらいはいいじゃねーか…。おまえらに会ったことを証拠に残したいだけだろ…」
自分で言ったことなのに、オレは資料以外の写真を撮っていた理由を見つけた。
オレもただ、こいつらと楽しい日を過ごした証拠が欲しかっただけだって。
神崎と姫川は互いの顔を見合わせて小さくため息をつくと、神谷達を解放してくれた。
「1枚だけ撮らせてやる」
神崎は神谷達にそう言うと、オレの肩をつかんで立たせた。
そして2人はオレを挟むように立つ。
「罰として、てめーも巻き込んでやるからな」と神崎。
「何かあったら一緒に酷い目見てもらうぜ?」と姫川。
「……………」
これは果たして罰になるのか。
思わず笑ってしまった。
キョトン、としていた神谷達だったが、すぐに我に返って礼を言うと、急いで撮ろうとカメラを取り出した。
壊されてなくてよかった。
しかし、リーゼントから取り出した姫路より衝撃的だったのが、神谷がズボンからカメラを取り出したことだった。
「どこに隠してた?」
「あ、パンツの中です。へへっ」
神崎の質問に恥ずかしそうに答える神谷。
オレ達は一瞬ドン引きしたが、姫路に「撮りますよー」と言われてすぐに顔つきを変えた。
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