15:魔界に来ちゃいました。
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「う~ん…」
未だ入院中の因幡は、朝からうだるような暑さにうなされ、夢から覚めてしまう。
「姫川…、眩しい…。カーテン閉めて…。神崎…、冷房…、冷房つけて…」
布団を蹴り落とし、すぐ傍でベッド寝ている神崎と姫川に声をかけたが、2人から返事はなく、冷房もつかなければカーテンも閉められなかった。
まだ寝ているのだろうか。
「この病院、熱中症患者出す気か…」
因幡は目を擦り、自分で冷房をつけようと身を起こし、寝惚けた頭でベッドからおりた。
「熱っ!?」
足裏を襲った熱に驚いて足を上げ、見開いた目は信じられない光景を映していた。
砂漠。
辺り一面の砂漠だ。
しかも、病室で一緒だったはずの神崎達の姿も見当たらない。
「……………」
因幡の頬に、暑さとは関係ない冷や汗が大量に流れた。
「うんうん…。日本じゃないのは確かだし…、鳥取の砂丘にしては広大すぎるし…」
落ち着いて事態を飲み込もうとするが、目を覚ませばいきなりこんな場所で病室のベッドとともにいるのだ。
飲み込みきれるはずがない。
パニック寸前で思い当たる一人の存在を思い出した。
「あ、そーか。姫川だ。超金持ちのあいつなら、エジプトにオレを連れてきてドッキリ作戦とか容易にやりそうだし…」
あっはっは、と因幡は青ざめた顔で笑い、辺りに呼びかける。
「おーい、姫川ーっ。隠し撮りして悪かったからよぉ、家に帰してくれよーっ。お―――い…、おまえホント今現れねえとブッ転がすぞォ!!」
その時、突然陰り、後ろに大きな気配を感じ、おそるおそる振り返った。
見ると、生傷だらけのガラの悪そうな紫色のクジラが出現し、額にある3つの目で因幡を見下ろしていた。
「ボエ゛エ゛…」
「フッ…、さすが姫川だ。砂漠でクジラを飼うのもお手の物…」
あくまで現実逃避しようとする因幡に、クジラがいきなり大口を開けて襲いかかってきた。
咄嗟にベッドから飛び下り、ベッドは持って行かれたが丸呑みは避けられた。
「熱っ! 熱っ!」
よく熱せられた砂に足をつけ、耐えられずにピョンピョンと跳ねた。
そこへなにかが転がってきた。
「!」
自分の愛用の靴だ。
そういえば、とベッドの下に入れていたことを思い出す。
ベッドをムシャムシャと食べたクジラは、獲物を食べそこなったことに遅く気付き、再び大口を開けて向かってきた。
因幡はすぐに靴を履いてそれを後ろに飛んでそれを避け、ジャンプする。
「クジラは…海にカエレェェェェ!!」
ゴッ!!
クジラの額の目に勢いのついたかかと落としを食らわせた。
「ボエ゛エ゛エ゛エ゛…ッ」
激痛に悶えたクジラは砂の中に逃げるように潜りこんだ。
その場に着地した因幡は緊張で呼吸を荒くし、もう一度辺りを見渡した。
「ここ…、どこだよ…」
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