14:喧嘩に花火とも。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
石矢魔総合病院、802号室。
本来は個室部屋なのだが、そこには6人の患者が押し込めらていた。
病室には、姫川、神崎、因幡、相沢、陣野、城山と掲示されている。
その中で軽傷だった因幡は5人のために缶ジュースを買うため、自販機コーナーにいた。
「あいつら人をパシりやがって…」
恨み言を呟きながらも要求通りのジュースを買い、両腕に抱える。
そのままロビーを通過しようとしたとき、ロビーに設置されたテレビに石矢魔高校が全壊した光景が映し出された。
夏目の話では、校舎を壊したのは男鹿というではないか。
「……………」
(たった一人の人間に、あんなことが出来てたまるかよ…)
そう思いながらも、因幡は瓦礫が降ってきたことを思い出す。
あの時、大きな瓦礫が落ちてきた。
人間を簡単に潰せるほどのデカい瓦礫だった。
ほとんど反射的だった。
地面を蹴って大きくジャンプし、その瓦礫を右脚で蹴りあげて粉々に砕き割ったのだ。
自身にも信じられない力だ。
瓦礫を蹴り割った右脚を見たがアザも出来ていない。
(夢…?)
目が覚めた時には病院のベッドの上で、熱はいつの間にか下がっていた。
(…オレは…、普通の人間…だよな?)
自問自答をしていると、出入口付近に悪寒を感じた。
見ると、黒い笑顔で立っているコハルがいた。
その後ろには見舞い品を持った春樹も一緒だ。
「あ…、母さん…」
「桃ちゃん? 風邪引きさんがどこに行ったのかと思ってずっと探してたのよ? なのに、夏目君から話を聞けば喧嘩した挙句入院したそうじゃない? …ちゃんと説明してくれないかしら…。お母さんに」
(うわ、めっちゃ怒ってる)
因幡は思わずたじろいだ。
コハルがこちらに近づくにつれて一歩一歩と後ろに下がる。
春樹は「気の毒に」と引きつった笑みを浮かべていた。
「いや…、ケンカしたけど負けたわけじゃなくてな…」
「母さんが聞きたいのはそこじゃないの」
因幡はバックステップで階段をのぼり、コハルも歩調を合わせてそれを追いかける。
「まさか学校が崩壊するくらい大事になるとは思わねえだろ;」
「桃ちゃん? お母さんは別に怒ってるわけじゃないのよ。どうして逃げるの?」
「絶対怒ってるっ。その笑顔は怒ってるって…」
気付けば、802号室の扉に背中をつけていた。
「病室でじっくりと説教してあげるからね」
「じっくり…ね」
因幡は扉を開けて中へと逃げ込んだ。
コハルは「往生際が悪いコね」と扉をくぐり、その光景を目の当たりにした。
「あ。因幡の母ちゃんじゃねーか」
右から、姫川、神崎、相沢、陣野がベッドで寝かされていた。
その奥のソファーでは城山が寝かされている。
「…まぁ」
ただいま、コハルの妄想にはモザイクがかかっています。
「がはっ!!」
瞬間、吐血するコハル。
「「「「ええええええ!!?」」」」
「気にするな、鼻血だ」
おおごとにしないために因幡が説明する。
「鼻血って!!?」と陣野。
「口から出ましたが!!?」と相沢。
「母さんは興奮すると吐血(鼻血)するんだ。まあ…、女の意地ってやつで…」
写真や絵を見るのは平気だが、ナマモノとなると途端に大興奮してしまう。
ここにいる間はしばらくお説教されることはないだろうと因幡は踏んだ。
病室に入ってきた春樹は、もうそんな母に慣れたのか、吐血して倒れたコハルをスルーして持ってきた見舞い品を神崎に届けた。
「神崎さん、よかったらどうぞ」
「お…、おう…」
吐血した床にはダイイングメッセージが。
“寝ぞうが悪くて隣にベッドイン写真をっ”
(指令…)
ご期待に応えられるような写真を撮ろうと誓い、姫川にナースコールしてもらった。
(またしばらく入院生活かよ…)
.To be continued