14:喧嘩に花火とも。
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ドォン!!!
満月が浮かぶ深夜、石矢魔高校の真上で大きな花火が次々と打ち上がり、爆音を立て、火花を散らした。
石矢魔のトップ争いに参加した全校生徒はそれを見上げ、一時的に静寂を取り戻すと同時に再び争いを始める。
男鹿と東条の対峙の最中、東条の下につく相沢と陣野は、神崎、姫川、城山とともに校舎裏へとやってきた。
「ここらへんでいいだろう」
「やれやれ、東条さんにも困ったもんだ。最後まで立ってた奴が大将と言っときながら、男鹿とは一対一(サシ)でやりたいから、邪魔者はつれていけとはね―――…」
相沢と陣野は振り返り、神崎達と向かい合う。
「つーか、いーの? キミ達も東条さんとやりにきたんじゃないの?」
尋ねる相沢に、姫川は「フン」と鼻を鳴らした。
「もちろん、東条はぶっ殺すさ」
「てめーらをサクッとやってからな」
「まぁ、男鹿のやろーじゃ東条に勝つのはムリだろーが、奴の体力削るくらいは出来るだろーからな」
神崎と姫川の言葉を聞いた相沢は「フーン」と言って言葉を継ぐ。
「……で、弱った東条さんを2人で叩くと…。せこいねー」
「おいおい、頭脳派と言ってくれねーか?」
姫川は不敵な笑みを浮かべて言い返した。
「…頭脳派はいいが、その作戦は根本的にムリがあるぞ」
陣野は眼鏡を外し、ポケットにしまってから言葉を続ける。
「おまえらはオレ一人にすら勝てない」
「そゆこと」
男鹿と合流する前に陣野一人にやられたことを、2人は忘れたわけではない。
それでも、姫川と神崎は一歩も引く気はなかった。
「……………」
「フン」
黙る姫川と鼻で笑う神崎。
その様子を駐輪場の屋根から窺う人影があった。
相沢と姫川、陣野と神崎。
タイマンが始まろうとしたとき、石矢魔の不良が校舎裏の角を曲がり、5人を見つけた。
「相沢さん! 陣野さん!」
「こんなところに…!」
「おい、こっちに神崎と姫川がいるぞ!」
それを聞きつけ、遠くの方から多くの足音が近づいてくる。
肩越しにそれを見た相沢は「あらら、見つかっちゃった…」と苦笑した。
曲がり角に近づいてくる足音に神崎は舌を打ち、姫川は「めんどくせーな」と眉間に皺を寄せる。
「邦枝達が相手してると思ったが…、残党か」
「問題ねーよ。軽く蹴散らして…」
神崎が言いきる前に先頭にいた一人が地面にうつ伏せに倒れた。
教室の2階から飛び降りた人影の着地台になったからだ。
その場にいた全員がぎょっとする。
「よう。面白そうなことしてるじゃねーか。水臭ぇな。オレも呼べよ」
「因幡!?」
驚いた声を上げたのは城山だ。
登場した因幡の顔は熱で赤く、だるいのか猫背気味である。
「城山から風邪って聞いてんぞ…? つーかおまえ絶対風邪引いてるどころか重病だよな?」
「案ずるな、神崎。私は至って健康体だよ、ふーっふっふっ(笑)」
余裕の笑みを浮かべながら因幡は姫川に顔を向けて言った。
「オレ姫川だしっ! キャラ変わってんぞ!!」
「頭から出てるの、それ、湯気か!? すぐに病院行ってこい!!」
「バカヤロー! あくまで原作沿いだからここで出現しとかねーとな、このままだとオールでオリジナル突っ走っちまうだろうがっ!!」
「「なんの話だ!?」」
作品事情のコントを始めた3人に、陣野は呆れたようなため息をついた。
相沢はその緊張感のないやりとりが面白いのか笑っている。
「そういや生きのいいのがいたなぁ。こっちに混ざるか?」
因幡は相沢を一瞥し、着地台にした不良の手から角材をとり、駆けつけた不良達に振り返る。
「タイマンに水差す気はさらさらねーよ」
そう言いながらその場にしゃがみ、手にした角材を横向けにして自分の爪先の前に置いた。
角材で攻撃してくるのかと構えていた不良達は、顔を見合わせたり首を傾げたり怪訝な顔をしている。
立ち上がった因幡は不良達に挑発的に言い放つ。
「この廃材から一歩でも踏み込んだ奴は即座に転がすからな」
それを聞いた不良達は全員額に青筋を立たせる。
「ああ!?」
「今なんつったコノヤロウ!!」
「オレらのことナメてんじゃねーぞ!!」
怒鳴り散らしながら不良3人が角材のラインに踏み込んできた。
ゴゴゴッ!!
同時に、勢いのついた横一線の左脚の蹴りが、不良3人を一気に横に吹っ飛ばした。
不良3人は地面を削るほど転がり、動かなくなる。
それを見た他の不良達は顔を青ざめた。
「オレと同じで、お呼びじゃねーんだよ、てめーら」
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