14:喧嘩に花火とも。
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「…早く帰って寝たいんだけど」
頭痛までしてきた。
その要求も虚しく、不良達は廃材を手に興奮して喚いている。
「見ろ。あの因幡が弱ってるぞ!」
「チャンスだ! 今のうちにリンチにしてやろうぜ!」
数十分前に見た光景だ。
因幡はため息をつき、「そうそう、オレ今弱ってるから…」と不良達の間を通って帰ろうとしたが、もちろん全員がそれを許すはずもなかった。
ひとりが因幡の背後から殴りかかろうとした。
ゴッ!!
だが、因幡の回し蹴りが顔面に炸裂し、吹っ飛ばされた不良は電柱にぶつかり気絶した。
電柱は不自然に凹んだ。
「だから…、手加減できねえくらい弱ってるっつってんだよ…!」
目付きを鋭くさせ、不良達を睨む。
不良達は浮足立ったが、誰かが「怯むな! ナメられんじゃねえ!」と声を上げて煽ったことで、全員が得物を手に因幡に一斉にかかった。
「……てめぇらがオレを満足させられるわけねえだろ…」
じわりと瞳の色が赤くなる。
そこから先は意識が途切れ途切れになりながらも不良達を次々と地面に叩きのめす光景が目に映った。
(簡単だ。簡単に転がってく…)
「―――!!」
背後から誰かの声がして、回し蹴りを食らわせようと勢いをつけて振り返る。
「!!」
鼻先に当たる寸前で足を止め、瞳の色を取り戻す。
「……夏目?」
口元に笑みを浮かばせた夏目の頬を冷や汗が伝う。
「因幡ちゃん、もう終わってるよ」
はっと我に返って辺りを見回すと、不良達は全員地面に転がり、呻いていた。
「……もう終わったのか…」
「でもちょっとやりすぎかもね。…救急車呼ばないと…」
夏目が携帯を取り出した時だ。
今度は因幡が倒れた。
「因幡ちゃん!?」
夏目は慌てて駆け寄り、因幡の顔を窺う。
顔は熱で真っ赤に染まり、呼吸も喘息を起こしたかのように苦しげだ。
因幡の耳から夏目の声が遠のいていく。
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