14:喧嘩に花火とも。
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カーテンの閉め切った因幡の部屋で、ピピッ、と小さな音が鳴り響いた。
因幡は茫然とした表情で天井を見上げたまま、右脇に挟んだ体温計を取り出し、自分の目元に持ってくる。
38.5℃。
その数字を見ただけで余計に体がだるくなる。
「また上がってる…」
異変に気付いたのは一昨日のことだった。
好物のアメを舐める気力もなく、ただの夏バテかと思いきや、母のコハルにすすめられて熱を測ったら夏風邪であることが判明した。
久しぶりの風邪に、体が根を上げるのも時間の問題だった。
枕元に置いた冷房のリモコンをとり、冷房をつけて涼む。
風邪どころか夏の朝の暑さにやられそうだ。
外から小うるさい蝉の鳴き声が聞こえる。
茫然としたまま、どれくらいの時間が経過したのか。
因幡は重い身を起こし、パジャマ姿のまま部屋を出て1階のダイニングへとやってきた。
父親、姉弟はすでに出かけたようだ。
コハルはなにしているのかと1階にある仕事部屋を開けると、徹夜明けなのかアシスタントと一緒に床に布団を敷いて爆睡していた。
朝食を食べる気も起きず、ふらふらと自室に戻ってベッドに腰を下ろし、携帯から充電器を引き抜いて携帯の蓋を開けて画面を見る。薄暗い部屋に画面が眩しく光る。
着信もメールもない。
まあ「風邪引いた」と誰かに報告したわけでもないので、心配メールが来ないのは当たり前だ。
携帯を閉じ、ベッドから腰を上げてカーテンを開く。
眩しい光に照らされ、目を細めた。
たかが2日外出しなかっただけで体が疼いていた。
「…薬買いに行くか…」
とっとと風邪を治し、夏休みをエンジョイしたい。
因幡は私服に着替えてマスクをし、コハルにはなにも告げずに外へと出た。
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