13:夏のサバイバル。
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夕方も近くなり、先に両腕にヤシの実を抱えた因幡と夏目が戻ってきた。
集合場所に戻ってみると、そこには焚き火が燃えていた。
「おお、火ィついたのか!」
「ライターもなかったのに、すごいね、城ちゃん!」
「…ああ」
しかし、城山は膝を抱えて落ち込んでいた。
「…なんで落ち込んでんだ?」
「それが…」
乗組員Aが説明してくれた。
担当が決まって因幡達と分かれたあと、城山は枯れ木をかき集め、原始的な方法で火を起こそうとしていた。
必死に枝を擦り、火を起こすものだ。
その時間、1時間近く。
どうやっても火が起きず、「クソ、昔の奴はどうやって火を…!」と悩んでいると、乗組員Aが「少しよろしいですか…」と名乗りでた。
彼の手には唯一の持ち物である虫眼鏡が握られていた。
「こうしてはいかがでしょう…」と虫眼鏡を太陽にかざし、その光を集中的に枯れ木に集め、その熱で火を起こしたのだ。
その時間、2分。
ガーン、とショックを受けた城山はずっと焚き火の前で膝を抱えたまま、因幡達を待っていたとか。
「城山…、いいじゃねえか、火がついたことだし…」
「神崎君のために努力したのはわかるから…」
慰める2人に、ますます城山がどんよりと沈む。
「慰めはいらん…。オレは…、与えられた仕事をまっとうできなかった…。それがっ非常に心苦しいんだ…っ!」
よほど悔しいのか、握りしめたコブシを砂浜に埋めている。
「真面目すぎ」
「まあ、城ちゃんだもん…」
しばらくして、神崎と姫川も戻ってきた。
「お―――い」
「釣ってきてやったぞ―――」
「おお、おかえ…わぁ!? スゲー大漁!!」
2人がヤシの葉に載せて持ってきたのは、大量の魚だった。
タコやイカまである。
「どうやってとったんだ!?」
驚く因幡に、焚き火の前に魚の山を置いた神崎と姫川は自慢げに話す。
「まず、神崎が岩を海に投げつけ、魚を浅瀬に追い込み…」
「姫川がスタンバトンの電流で感電させて大漁大漁」
姫川の案である。
良い子も悪い子も、マネしたら逮捕されてしまうので警察のお世話になりたくない人は絶対にしてはいけません。
担当分けの前の険悪な雰囲気はどこにいったのか、2人は夕日をバックに笑い合っている。
因幡、シャッターチャンスは逃がさない。
「さすがです、神崎さん!」
「復活早いね、城ちゃん」
「おまえら…、やっぱり仲良いな」
「「良いわけねだろ!!」」
ハモりながらも2人はムキになってぱっと離れる。
因幡は、いらないこと言っちまった、と反省した。
焚き火を囲いながら食事を始める。
メインは焼き魚。
デザートはヤシの実のジュース。
「…神崎、ヨーグルッチは?」
焼き魚を食べながら因幡が問い、タコの足を食べていた神崎は答える。
「小腹が空いたからな。姫川と半分ずつ飲んだ」
「甘ったるかったけど、美味かった」
(間接…!! クソ! オレも一緒にいればよかった…!!)
聞かなければよかったことに、因幡はデジカメを握りしめて震えた。
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