13:夏のサバイバル。
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「…ああ…、すごく快適…」
照りつける太陽の下、ビーチチェアーでくつろぐ因幡はサングラス越しの青空を見上げる。
そんな因幡に近づいた姫川は因幡の視界を遮った。
「そこはオレの席だ」
「え―――…」
「えー、じゃねえよ、オレのクルーザーに乗せてやってるだけありがたいと思えっ」
ビーチバレー、ビーチフラッグ、スイカ割り、砂山、海の家での昼食のあと、現在、因幡達は姫川のクルーザーに乗っていた。
海岸も遠くなり、神崎達も他のビーチチェアーで因幡のようにくつろいでいた。
因幡は欄干に背をもたせかけ、デジカメを操作し、撮影したものを確認してみる。
写っているのは、ビーチバレーやビーチフラッグで真剣に競い合う神崎と姫川や、スイカを割ろうとする神崎の邪魔をする姫川、海の家で焼きそばを食べる神崎、姫川、城山、夏目。
「うーん…」と眉をよせ、繰り返し写真を見る。
(…色気がねえな…。姫川は水着じゃねえし…)
これであの母親が納得してくれるかどうか。
今回のメインは資料集めだというのに、ついつい熱中してしまい、ここぞといったシーンが撮れずにいた。
神崎の方に目を向けると、寝転がったまま夏目となにやら会話している。
(…夏目と神崎じゃ納得しないのか、母さん…;)
撮影しようと思ったがやめておく。
「…!」
ふと振り返ると、陸が消えていることに気付く。
もう見えないところまで来てしまったのか。
「…なんか、スピード上がってねーか?」
「あ?」
気付いたのは神崎だった。
上半身を起こし、姫川に声をかけた。
先程から揺れが強くなっている。
様子がおかしいと思ったのか、姫川は無線で下の運転席に連絡をとろうとした。
だが、いくら呼びかけても相手からの返事はない。
まさか、と姫川は階段を駆け降りた。
神崎と因幡達もそれに続く。
「!!」
扉を開けた先には、3人の乗組員全員が倒れていた。
姫川の後ろからそれを見た神崎達も驚いている。
「おいおい、倒れてんじゃねーか!」と因幡。
「うわっ、暑ィ! なんだこの部屋! 冷房はどうした!?」と神崎。
姫川は乗組員のひとりに駆け寄り、意識があるか確認し、「なにがあった?」と話しかけた。
「それが…、急に…目眩を…」
「神崎君、この人達全員、脱水症状を起こしてるよ!」
熱中症だ。
冷房がきかなくなったにも関わらず、ここに居続けた挙句に倒れてしまったようだ。
「坊っちゃまの楽しみを…奪うわけには…ガクリッ」
「てめーら姫川に忠実すぎだ!! 自分をもっと大事にしろ!!」
神崎はツッコんだ。
乗組員は全員年配である。
城山と因幡は運転席の前であたふたとしている。
「おい! これどうやって止めればいいんだ!?」
因幡は乗組員に聞くが気を失っているため反応がない。
「あっ!!」
フロントを見た城山は、声を上げた。
「どうした城山!?」
「目の前に断崖が…!!」
見えたのは小さな島だ。
距離はまだ余裕があるが、このまま直進してしまえば、クルーザーは激突を免れない。
「とにかく、方向を変えろ!! ぶつかるぞ!!」
姫川が怒鳴り、城山が舵をとろうとするが、それを因幡が阻止する。
「待て城山! よくあるだろ! てめーみたいなのがやると舵が壊れる!!」
ベタな展開だ。
神崎はすぐに予想できたのか、「じゃあオレがやる」と名乗り出て舵をつかんだ。
「おまえもだ神崎!! ここはオレがやる!!」
「てめーみたいな若干主人公っぽいのがよくやらかすんだよ因幡!! オレがやる!!」
「喧嘩するならオレがやろうかー?」
「神崎さん、ここはやはりオレに…!」
「てめーら早く舵切れよっ!!!」
「「「「面舵いっぱ―――い!!」」」」
因幡、城山、神崎、夏目は同時に舵をきった。
クルーザーは左へと方向を変える。
「おおっ」
「よし!」
「このまま陸の方へ…」
ザブ―――ンッ!
しかし、勢いがありすぎてクルーザーは横転してしまった。
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